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別たれたならば息もできない

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「1300年前、人類がとった最後の手段。ゲシュタルト計画・・・」

人ではないと、そう言うのならば。
この胸にある感情はなんなのか。
いつきを思う気持ち、仲間を思う気持ち。
この気持ちが、偽りだというのだろうか!

「所詮は道具なんだよ!!俺様たちも・・・あんたも!!」

飛来するくないを弾き返しながら政宗はぎりっと奥歯を噛み締める。
身体を寄こせだと!?
この身体も、感情は、自分のものだ。この怒りこそ、政宗自身のものに違いはない。

「違う・・・違う!俺はテメェらとは違う!!」

激情に任せて刀を振るえば、佐助くないが音を立てて砕けた。そうしてそのまま肉薄し、庇うように突き出された杖ごと佐助に斬りつける。
佐助の薄い体は簡単に跳ね飛ばされ、悲鳴を上げて床の上を二転三転と転がった。

「佐助?・・・佐助!」

舞台から魔法詠唱を唱えていた幸村は佐助の悲鳴に詠唱を中断して舞台から飛び降りる。
小刻みに震えて起きあがることのできない佐助の体を抱き上げ、悲鳴に近い声音で佐助の名前を呼んだ。
小さく瞼を震わせた佐助は、ゆっくりと瞳を開いてくしゃりと微笑んで見せる。

「っ・・・ははっ・・・旦那、泣いてるの・・・?」
「佐助!死んではならぬ!!」
「ねぇ、俺様たちが、なんで対として作られたのか、今・・・わかったよ・・・魂のない俺様たちが・・・」
「もう喋ってはならぬ!!血が・・・血が止まらぬっ・・・佐助!!」
「ひとりで生きるには・・・この世界は、寂しすぎるんだ。時間が、永すぎるんだよ・・・」
「佐助っ!」

悲痛に耳を劈く幸村の声に、佐助は弱く微笑んで泣き濡れる幸村の頬に手を添えた。

「涙が流せるのに・・・魂が、ないだなんて・・・本当に、おかしな話だよね。・・・ごめんね・・・旦、那・・・」

そうして吐息を吐くと同時に、佐助の掌が力を失って重力に落とされる。

「嫌だ、佐助!置いてゆくな!!某を独りにしないでくれ!!!嫌だっ・・・ああああああああ!!!!!」

絶叫に世界が震える。
政宗は静かに二人を見ていた。
幼いころから、ずっと自分といつきを育ててきてくれたのは二人だといっても過言でもない。
政宗は、佐助を切り倒した血の付いた刀を見る。
幸村の嗚咽が雪のように降り積もる中、政宗は堪らず刀を下ろした。

「幸村・・・もう、やめようぜ・・・」

政宗の痛烈な言葉に、幸村の嗚咽が途切れがちに乱れる。

「やめよう・・・・・・やめよう?・・・やめようだと?貴様にそんな自由があると思ッテイルのか?」

深淵の闇色の奥で緋色が爆ぜる。
怒り、憎しみ、おどろおどろしい感情が溢れで、幸村の声が耳障りに脳を叩いた。

「佐助を殺しておいて・・・ヨクもそんなっ!!」
「やめよう幸村!今ならまだっ」
「もう遅ェンだよなにもかもッッ!!!!!」

普段の物静かな言葉は跡形もなく崩れ去り、憎悪と狂気の声音に政宗は我知らず一歩身を引いてしまった。

「みんな殺すっ・・・コロしてくれるわ!!!!」

幸村は魔力を封じた杖を振るい、同時に魔力を秘めた刃を抜いた。