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【銀魂】おもちが食べたくなったら、うさぎさん【銀神】

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抜けるように高く、青く。空には昼間特有の、ぼんやりとした月が見える。銀時は汗を拭いつつ、その月を黙って見ていた。そんな彼の右となりには、その月から落っこちて来た兎が、彼と同じように座っていた。
月には兎が。餅をついて。きっと彼女を待っているのだ。


「帰りたい?」

銀時は不意に(彼の中では一応それなりの順序があるのだが)、傍らの少女に尋ねた。少女――神楽は、顔を少し上げ、銀時をその丸い瞳で見つめる。そうしてから、どこに?と尋ね返した。続けて銀時は家に、と云った。帰りたいと答えたのなら、何処からか金を借りてでも返してやろう、そう思いながら。幸い伝手は四方にある。仲間が餅ついてまで待ってんのに、帰さないってのは可哀想だよなあ、口をついて出そうになった言葉。寸でのところでつばきと一緒に呑み込む。



「別に」


忘れた頃に返事をする神楽に、やはり彼女の中には迷いがあるのだろうか、銀時は思う。可愛い兎さん、正直になってください。そうでないと、俺はお前を帰そうと思わなくなってしまうよ。


「地球、ご飯おいしいネ」


私ラーメン大好きアル、無邪気な顔で神楽が云う。銀時はゆるい笑みを浮かべて彼女の顔を眺めた。ああ、この兎さんはまだ子供で、新しいものが大好きなのだ、銀時はそう結論付けた。



立ち上がりながら、銀時は神楽の頭の上に手を乗せる。



「ま、餅が喰いたくなったら何時でも云えよ」



その銀時の言葉に、神楽は不思議そうに首をかしげた。


「アイス食べたいヨ銀ちゃん」

頭の上に置かれた手を握りながら神楽は云った。銀時はその手から伝わる高い子供の体温に満足感を覚えながら、アイスを買う約束をした。