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しあわせのうた

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「つがるう」

キラキラピンクのヘッドホン。真っ白い服。それとは裏腹の黒い髪、そして紅い瞳はくりんとまんまる。
ヘッドホンと同じピンクのコードは意志を持っているかのように動く。
サイケはうろうろと白地に青い模様が浮かぶ着物の周りをうろついた。…が、反応がない。

「…うー…寝てる?」

肩によりかかってみても、いつもならどうした?って優しく聞いてくれるのだけれど、反応なし。手には煙管と楽譜を持っている。が、目は閉じられたままだ。

「つーがーるー」

首に腕を回して耳元で聞こえるように声をかけてみるが、やっぱり反応はなし。サイケは頬を膨らませて拗ね、津軽に背中を向けてうずくまるように座った。

「津軽にきらわれたー…」
「……?サイケか…どうした?」
「津軽っ」

くっつけた背中に熱を感じた津軽が、不意に顔を上げた。聞こえてきたテノールにピンクのヘッドホンがぴょこんと揺れる。

「津軽つがるっ、何してたの?」
「新曲、渡されたから」
「また歌うの?」
「うん。それで覚えてた。気がつかなくて、ごめん」

少し寂しそうな表情を見せた津軽に抱きついた。ぎゅうっと抱きつくと、持っていた煙管と楽譜を傍らに置いて、背中に手が回された。

「津軽にね、嫌われたと思ったの」
「好きだよ。サイケ、好き」
「おれもだあいすき」

顔を上げると琥珀色の瞳は優しく笑っている。思わずしたくなって、唇に吸いつくようなキスをした。一瞬で離れると、津軽は真っ赤になっていた。

「ね、歌って?おれ津軽も、津軽のうたもだいすき!」
「うん」

津軽から離れ、その場に腹這いで横になった。肘をついて津軽を見上げて、はやくーと催促する。

~♪

曇りのないテノールが響く。


それだけで幸せだなあとまたピンクのヘッドホンを揺らして、サイケはにこにこと笑っていた。
作品名:しあわせのうた 作家名:KOU