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きみのともだち(円←風)

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「気にしないでくれ」
なんて、投げやりに言って、本当は気にして欲しいのがまるわかりだな、と自分でも思った。
一人で特訓を終えたあと、キャラバンに戻って窓の向こうを見つめていた。
あるいは楽しそうに、あるいは真剣に、スノーボードを操るキャラバンメンバーを見ていると、こんな想いにかられているのは自分だけなんじゃないかという気にさえなる。
勝ちたい。負けたくない。怖い。やめたい。逃げ出したい。
色々な思いが交錯する。
つい数週間前までは、確かに大変だったけれどそれでも楽しくサッカーをプレイ出来ていた。
何の変哲もない日常。授業を受けて、部活に出て、トーナメントを勝ち抜いて。
命を失いかけるような事故もあったが、その相手はちゃんと逮捕されたし、少なくとも毎日家に帰って温かいご飯を食べて、明日の宿題を確認して、安らかな眠りについていた。
日本中を駈け回って、地球を侵略しに来たエイリアンと戦うことになるなんて、考えもしなかったのに。
今まで戦ったどんな相手よりも強い宇宙人。フットボールフロンティアに出場しなかった、強い選手。
彼らを見るたびに、多少なりとも持ち合わせていたプライドが、音を立てて軋んでいく。
エイリア学園との戦いで怪我をしなかったのは、たまたま運が良かったからで、この先何があるか分からない。下手したら、死んでしまうかもしれない。
(…あいつは、そういうこと考えないんだろうか)
怯えているのは自分だけで。円堂と、彼の周りにいる者たちは、そんなこと微塵も感じていないとしたら。
いま、このキャラバンの中で、自分だけが異端なのかもしれない。
「風丸!」
誰もいないはずのバスに、聞き慣れた声が響いた。
ぎゅっと抱えていた膝を慌てて崩して、出入口の方を見る。
頭に雪を載せた円堂が、笑顔でこちらを見つめていた。
「…何だ?」
「雪合戦、始めたんだ! お前も来いよ!」
「オレは…いいよ」
「なんで?」
「…さ、寒いから」
お前たちに合わせる顔がないんだ、とはさすがに言えなくて軟弱な理由で誤魔化した。
きょとん、とした円堂が、黙っているのが少し辛い。
(いつもみたいに、「そっかあ」とか何とか言って、いなくなってくれればいいのに)
今は、真っ直ぐ見ることが出来ないのだから。
しかし、風丸の願いもむなしく、円堂は黙ったままタラップを上りこちらに近付いてきた。
「じゃあ、オレもここにいる」
「な、何言ってんだよ! みんな待ってるだろ、お前がいないと…」
「ただの雪合戦だろ。それに、ほら」
促されて窓を見る。すでに二手に分かれて雪を投げ合っている。どういうチーム分けをしたのか、誰が仕切ったのかは少し気になった。
「確かに寒いもんな! 最近忙しかったし、オレもここで風丸と話したいし!」
「円堂…」
どきり、と高鳴った心臓が不思議で仕方ない。
円堂の言葉は素直に嬉しいし、確かに最近ゆっくりと話す機会がなかったことは事実だ。
けれど。
「…オレも行くから、一緒に行こうぜ」
「え?」
雪合戦をしている集団は、キャラバンからずいぶん離れたところにいる。見えるわけない。分かっているのに、確かに感じる。
木野も、雷門も、壁山も、染岡も、鬼道だって、みんなこちらを気にしている。
円堂が、早く来ないかな、って、思っている。
それぞれ、思うところは違うだろう。
木野や雷門は恋心で、壁山は尊敬で、染岡と鬼道は友情で。
それでも、根本にある感情は一緒のはずだ。
円堂のことが好きだから、彼ともっと一緒にいたい。
ちゃんと、分かっている。自分だって、同じ気持ちなのだから。
「ほら、早く。みんな、待ってるだろ」
「そう、か? じゃあ…行こうぜ!」
並んでタラップに向かい、先に降りた円堂がすっと手を差し伸べた。
「…なに?」
「ここ。さっき、ちょっと滑ったから危ないぞ」
「…ありがとう」
小さく笑って、手に触れる。同じ年の男がするには、おかしい行動かもしれないけれど、不思議と心が満たされる。
(オレは円堂に、女子みたいに扱われたいのかな)
芽生えた感情を否定できる要素を、探している。