トリカゴ 2
本当は詳細まで勝手に決められているのだが、一度に話しても難しいだろう。ソファーに座ってじっと何も映らないテレビを見つめながら考えているサイケは、小さくまた頷いてくれた。
「それじゃあ・・・・おやすみなさい」
決まり文句を言って足先を玄関へと向けていく。スリッパが床を蹴る音以外は何も聞こえない。少しだけ嬉しそうにも見えたサイケの顔なんて、そう見たことあっただろうか。津軽を知ってから、波江が知るサイケは少しずつ変わっている。
それは喜ばしい変化であって欲しいと、またサイケを閉じ込めていく扉を見上げて願ってしまう。