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同族嫌悪

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毎日静かな夜はやってくる。
空を仰ぐと、深い深い群青にチラリチラリと散りばめられた砂屑。綺麗な月はこの暗い町をひっそりと照らす。
聞こえてくる音は虫の鳴く音か、風に揺られてざわめく木の葉の音だけ。本当に静かな夜だ。

隼人は慣れた手つきでタバコを咥えると、火をつけた。手首を素早く振って、マッチ棒に残った火を消す。すぐに紫煙が立ち上る。
ニ、三度煙を吐き捨てたところで、この夜の静寂を打ち破るような声が耳に入った。それは断続的で、言葉を成していなくて、けれど獣のものでもない、確かに人の鳴き声だ。今に始まったことではない、と隼人は寝巻の上に半纏を羽織ると声の元である部屋へと向かった。
近づけば近づくほど声は大きく明確となり、けれどやはり一つ一つの言葉は意味を成していなかった。隼人が歩く後をタバコの煙がゆっくりと辿っては消える。襖に手をかけると、無遠慮にそれを開いた。

視界に飛び込んできた光景は、やはり予想通りのものだった。
たった一枚の敷布団の上に、絡み合う男が二人。

「おい、」

隼人は特別機嫌が悪いわけではないが、取り繕って機嫌良く見せる義理もないのでいつもの調子で呼びかけた。すると、覆いかぶさっていた男は驚いて隼人を見上げ、血相を変えて着崩れた寝巻の襟もとだけをただすと行為の相手はそのまま捨て置き、そそくさと逃げてしまった。

「あーあ、逃げられちゃった」

残された男は淫らに肌蹴た寝巻を気にする様子も無く、言葉とは裏腹にクスクスと笑った。

「お楽しみ中だったんだから遠慮してよネ~」

「あのな…」

隼人は飽きれて溜息と共に紫煙を吐き出した。

「シキが性交遊は禁止だって言ってただろ」

「性交遊じゃないよ、ただのア・ソ・ビ」

「それを性交遊って言うんだよ」

近くにある手ぬぐいを掴み、啓介の足元にしゃがみ込むと穢れを慣れた手つきで拭い始めた。これが一度や二度ではない。大きく開かれた着物の裾から覗く、啓介の白く細く綺麗な足。真新しい鬱血に混ざって所々に古い傷や痣が残るが、それでも美しいのだ。

「たまには後処理する俺の身にもなれよ」

隼人だって禁色を強いられている健全男子だ。同じ男とは言え、体つきも顔も女のように華奢で美しい啓介の乱れた姿を見て、劣情が芽生えないと言えば嘘になる。こうして啓介の内股を滴る欲液を拭っている間にも、少しずつその感情は込み上げている。

「隼人、」

啓介が隼人を制止すると、彼は顔を上げた。そこには満面に妖しく微笑む啓介の顔があった。

「俺の事、抱きたい?」

その言葉がまるで何かの呪文のように、張りつめていた隼人の理性を切った。細く白い啓介の首筋に、隼人は貪るように食いついた。気だるげに敷布団へ投げ出された左の掌はゆっくりと上げられ、隼人の癖のある髪に絡められた。


静かな夜が打ち消される。


作品名:同族嫌悪 作家名:Rocco