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家庭教師情報屋折原臨也5

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 外は少し日が傾き、橙の空が広がり始めていた。勉強は静雄の予想以上に捗り、環境の違いもあって、三時間連続して集中力が続いた。しかしまた予想以上に疲れ、頭が寝起きのようにぼーっとした。行きよりは若干人の減った大通りを進んで、静雄と臨也は山手線新宿駅の改札付近にいた。
「今日はありがとうございました」
そういって軽く腰を折る静雄を見て、臨也は肩をすくめた。
「敬語、やっぱりやめてくれないかなぁ」
「分かった」
静雄からあっさりとした返事が返ってきて、臨也は目を見開いた。
「あれ?意外に早い。前みたいに言わないんだ」
「疲れるんだよ、敬語って。慣れねーし」
折原さん以外に使わねーし、何か面倒になった。
敬語が無くなっただけで、静雄の空気が少し柔らかくなった気がした。敬語ってすごいなぁ、と臨也は思った。
「じゃ、また明日…あぁいや、明後日だね」
「じゃあ、な」
改札を抜けてすぐ、静雄は一度振り返った。しかし何か言うわけでもなく礼をするわけでもなく、ただ振り返って、そのまま人ごみの中に消えて行った。
 静雄の姿が見えなくなり、臨也も改札に背を向けた。足取りに乱れはなかったが。
 ――― ヤバい。本当、…あぁー、どうしよう……
振り返ったときの静雄の表情に、ひどく掻き乱された。
 振り返ったその一瞬、不器用な、曖昧な、でも確かに笑顔といえるものがそこにあった。
 ――― 面白すぎて、叶わない