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【DRRR】はろー*はろー*はろうぃん 【帝人総受け】

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》帝人総受け!!


『はろー*はろー*はろうぃん』

「ちょちょちょ、気が付いたらもう秋が来てるじゃないか帝人ぉぉおおおん!!何悠長にしてんの!?」
「うるさいよ正臣。読書の秋ならもう堪能中だから」

いきなり教室に飛び込んで来た幼馴染に対して、帝人はそちらに振り向きもせず、読んでいる本のページをめくりながら素っ気無い返答をした。
傍にいた杏里は目を丸くして驚きつつも、すでに日常になってしまった休憩時間ごとにやってくるこの騒がしい友人に笑顔を向ける。

「紀田くんも読みますか?」

そう言って指差すのは、帝人の持つ文庫本である。どうやらそれは、杏里の持ち物であり、オススメの本なようだ。
彼女が自分の嗜好品を他人に伝えたり、ましてそれを貸したりすることは稀であるため、その光景は何ともほほえましく、かつ絆の強さを感じさせる。

「おお、杏里のオススメなら面白いことは必須だな!俺もあとでじっくりと読み漁って、少しでも杏里の深層心理に近づいたアタックが出来るように研究してみないと」
「正臣、この前は活字アレルギーって言ってたよね?」

冷たい口調で指摘しつつも、帝人は本にしおりを挟んでから顔を上げる。
そうやって、結局はちゃんと正臣の話を聞く体勢を取る帝人を、杏里はいつも不思議に思いながら関心した。
どんなふうに言い合っていても、2人はちゃんと尊重しあいながら良好な関係を保っていけているのだ。自分もそこにちゃんと混ざれているのだろうか?と自問自答する。しかしその悩みは、正臣の持ち込んだ新たな悩みにかき消された。

「すでに秋、つまり、もうすぐハローウィーンの季節なんだよ!!」
「……ハロウィン?」
「ハロウィン、ですか?」

大げさに主張しながら訴える正臣に対して、首を傾げる。
確かに、今月末の10/31は世間ではハロウィンと呼ばれており、一般的に日本では、子供達がオバケや悪魔などの仮装をして、ごく一部の近所や友人宅を回るという行事が行われているところもある。
帝人はそんな一般常識的なことを思い返しながら、正臣を見返した。

「それがどうかしたの?」
「そそそ、そんな軽い反応でいいのか!?もしや帝人にはもう準備が出来ているとか!?」
「?準備って一体何なの?」

東京では海外のホームドラマで見るように無差別に近所の子供が回ってきたりするのだろうか?そうなるとお菓子を用意する必要があるのかもしれないが、帝人の住むあのボロアパートに回ってくるとは思えなかった。
全く理解が出来ていない帝人を他所に、正臣は杏里を見る。

「杏里は?杏里ならこの俺の熱い情熱を分かってくれるよな?」
「はぁ…。えーと、当日の仮装のことでしょうか」
「そう、それだよ!!さすが俺の杏里!!未来のマイスウィートだぜ」
「誰のだって!?」

正臣の軽々しい発言に釘を打ちながらも、帝人は心の中で首をかしげた。
仮装、って、何?

「ちなみに去年の俺は、これ!!最高にクールなジャックランタン!名付けてカボチャパンツプリンス正臣ハーツだ!どうだこの完成度、おおっと、ベタ惚れしちまうのも無理はない!去年の俺はこの格好で中学のベスト・オブ・ハロウィン賞を見事に射止めたんだからな」
「あ、私は美香さんと一緒に魔女を…」

2人が帝人の方に携帯画面を向けてくる。
そこには、今よりも少し幼い2人がそれぞれ、普段とは全く違う格好で映っていた。

「……園原さん、可愛いね」
「まったく、俺については何のコメントも無しか帝人!!でも確かにこの杏里、本当にエロ可愛いな、いやむしろエロ可愛いを通り越してロリエロい!中学生にしてこの色気!まさに」
「正臣、もういいから、説明して?」
「またもざっくり!」

そう言われれば、去年のこの時期、まだ地元にいた自分とのチャットの中で、正臣はハロウィンの準備が忙しいと言っていた気がする。
そのときは、時期的に文化祭か何かで出し物でもするのだろうと流していたのだが、今はそんな行事の予定もない。帝人は首をかしげて、幼馴染を見上げた。

「あれ、帝人はハロウィンやったことないのかー、そうかー、それはそれはー」
「じゃあ、ハロウィンデビューですね」

言葉の端々に含みを持たせる正臣どころか、杏里までもが手を合わせて嬉しそうに言った。
なぜだろう、帝人の中には嫌な予感しかしない。

「…え、もしかして、そういう仮装とか、するの?」

帝人の指差す先には、2人の携帯電話の画像。
中学生までなら何とか許される気がする。でも、さすがに高校生にもなってそれはないだろう。だいたい自分は今まで、彼岸が過ぎればあとはクリスマスを待つのみ、という田舎で過ごして来たのだ。子供の頃にだって一度もハロウィンの仮装なんてしたことがない。
そもそも、それをする理由が見つからないじゃないか。
そんな帝人の心の声を感じ取ったのか、正臣はにやりと笑った。

「ここは池袋だぞ?こういうイベント事は残さず余さず楽しんでいくもんだよ、大人も子供も、な!」

とりあえず、去年のハロウィンについて池袋の記事がないか探そう。そう決意した帝人だった。