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賽(さい)
賽(さい)
novelistID. 17147
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まつおたんBirthday!! 14.Oct.2010

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アホみたいな量の書類と格闘中、ふと机の方を見遣るとベルナルドが船を漕いでいた。
手元には書きかけの紙たちが散らばっている。
ワーオ、めずらし。
連日お疲れちゃんだもんな~、と思いつつ、心の中を意地の悪い気持ちが占領していくのが解る。
悪戯しちゃおっかなー、とわきわきしながら自分の書類をポイ。
俺にだって休憩は必要ダヨネ!と席を立つ。


普段ならこのまま休むようベルナルドに促すところだが、
忙しいので今はそう言っていられない。
まぁでも効率悪ィし、仮眠はとった方がいいよなー、
などとあんまり回ってない脳ミソで考える。
正直、俺もかなり眠い。

ので、悪戯が成功してベルナルドが起きたら俺が、失敗してベルナルドがまだ寝ぼけていたらアイツが仮眠をとる、と勝手に決める。
ちょっとした賭けだ。
その賭けを楽しめるギリギリの悪戯を、ベルナルドの机に向かいながら考える。
起きるか起きないかの微妙なラインを探る。
…こういう難しいパズルを解くような感覚っていいよなぁ。脱獄に似ている。
脱獄と違うのは、成功しても自由が得られないことかな。
仮眠取っても書類の量は変わらないし、何よりベルナルドと2人で寝られるのは先の話だ。
いま2人で同時に抜けるわけにはいかない…というか、書類仕事が終わらないから、部下を帰して絶賛居残り勉強中だしネ。
…あークソ、考えていたらシたくなってきた。
ダメ、って言われるとヤりたくなるのはなんでなんだろうな。
ベルナルドの右手側に回りながらぼんやり考える。

ベルナルドの顔を覗き込むと、いつも眼鏡越しに見ているアップルグリーンの瞳が綺麗に閉じられていた。
目蓋を縁取る髪と同じ色の睫が、繊細なその曲線が瞳を隠している。
眼鏡は少しずり落ちていて、なんだか可愛い。
寝顔は幼い、というか年相応になるよな。
普段キッチリとしているだけに、こういう姿を見るとそそられる。

ベルナルドの机の書類を上手く避け、音を立てないようにそっと体を屈める。
そのまま誘われるように端正な唇に口づける。
唇に触れるだけの、軽いキス。
目を開けると、眼前にはムカつくほど整った顔がある。
起きる気配はなさそうだ。
少し残念な気分になる。

「もっとしてくれないのかい?」

うぉ、ビックリした。目瞑ったまま話すなよ。

「…起きていたのかよ」

半ば呆れる。

「起きてないさ。王子様のキスが足りなくてね」

「どんだけ欲張りなお姫サマだよ…」

「あんな子どもみたいなキスじゃ起きられないさ」

「お姫サマにいきなりディープかます王子だったら、俺は嫌だなぁ」

会話しつつもベルナルドはしっかりと目を閉じている。
意地でもキスさせる気だな。
望み通りそのままキスするのは面白くない。
でも今の気分的に焦らす余裕はあまりない。

躊躇ったが、そのままキスをする。
なんだか負けたようで少し悔しいが、相手が起きているなら遠慮はしない。
触れるのは優しく、触れた後はゆっくりと唇の感触を確かめる。
角度を変え、唇を吸う。啄むようにキスはするが、決して舌は入れない。
ちゅ、と音を立てたりするだけ。
精一杯のお返しだ。


純粋にキスを味わっていると、後頭部にベルナルドの手が回された。
そのまま逃がさないかのようにホールドされると同時に、口腔に熱い舌が入ってくる。

「んっ…」

歯列を割って、満遍なく口の中を蹂躙される。
今更逃げはしないが、ベルナルドの好きなように犯されるのは面白くない。

顔は動かせないのでせめても、と舌で対抗する。
ベルナルドの舌を捉えて自分の舌を絡める。
甘く吸い上げてから、またお互いの舌を絡める。

なんでも自分の思い通りにいくと思うなよ。

「…ぁ…ふ、う…」

そのうちいつもの蕩けるようなベルナルドのキスに溺れそうになる。
でも溺れたらマズい。これ以上はマズい。

「ん、ぷぁ…はぁ」

名残惜しいが、仕方なく唇を離す。
やっとベルナルドと目が合う。

「…は、ぁ…お目覚めですか、お姫サマ?」

「お陰様で。百年の眠りから覚める程の熱い口づけをありがとう、王子様」

「んだよ。眠り姫ならキスしなくたって、たまたま通りかかれば目覚めたんじゃん」

「なるほど。ラッキードッグは眠り姫の世界から出てきた王子様だったわけか。どうりで眩い金髪なわけだ」

「ぬかせタコ」


冗談を言い合ってさっき以上にシたくなっている自分を少し落ち着かせる。
…あんま落ち着かないけど。
今すぐベルナルドの膝の上に乗りたい衝動を堪える。
出来ることなら、椅子をぎしぎし虐めながら俺好みに犯したい。

状況が許せば場所はお構いナシだなんて、どこかの幹部筆頭さんみたいな思考回路だワン。やだケダモノ!破廉恥!…という一人脳内芝居もそろそろ飽きてきた。

主に下半身と沸いたアタマ冷やして、はやく仕事しないと。
明日もあるし…。

が、さしあたって具体的にどうしたらいいか分からない。
…とりあえず、したいようにするかな。


座ったままのベルナルドの首の後ろに手を回す。
そのまま抱き寄せ、ゆっくりと呼吸をする。
自然と鼻孔を擽る彼の香りに身を委ね、身も心も包まれるのを感じる。

「ジャン?」

優しく問いかけてくる声が心地よい。
腰に回されたベルナルドの腕に安心する。

「…ダーリンの勝ちね」

「何がだい?」

「ゲーム。ダーリンを起こすか、起きるのが先か。早い者勝ち~」

「それならハニーのキスで目覚めたから、ハニーの勝ちだろう?」

「それは建前でショ。愚問だわ。…てか、一体いつから起きてたんだ?流石にずっと狸寝入りじゃないだろ?」

「秘密。ハニーの全てを知覚していたいんだ。俺は。」

「…アッソ。言ってろ、駄眼鏡」

「ひどいな、ハニー」

ベルナルドから体を離し、頬にチュッと音を立ててキスをする。
それからウィンクのおまけ。

この仕事が終わったら酒飲んでパーとお祝いして、それから飽きるまで抱き合って一緒にいよう。
それまでご褒美はオアズケ。
その時がきたら、ベルナルドには俺を煽ってくれちゃった仕返しを存分にしてやる。
あぁ、いまから仕事明けが楽しみだな。



自分の書類タワーへ戻る前に、ダメ押しとばかりにベルナルドに耳打ちする。
今日は出血大サービスよ、マイダーリン。



「…あいしてる」



お互い完全に目覚めたから、作戦変更。
仮眠は取らずにとっとと仕事を片付けて、2人で一緒におねんねコースだ。
恥ずかしくてしばらくベルナルドの方を見られないだろうから、仕事もきっと捗るだろう。












end