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【豪円♀】韓国戦おつかれさま【腐】

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「ただいまー」
「俺んちだろ?」
「いいじゃん、もう自分の家みたいな感覚なんだし」
「はは、まあそうだけど。おかえり」

 部活が終わってからそのまま、豪炎寺と一緒に帰った。今日は一緒に韓国戦を見る約束をしてる。アウェーだから日本でやるより少し開始時間は遅いけど、それでも試合にはぎりぎり間に合うかどうかって感じだった。

「もうすぐ試合はじまるけど、先風呂入っちゃうか?部活で疲れてるだろ」
「えっ、あ、あぁ、たぶん時間かかるし豪炎寺先に…」
「そうか?」

 見慣れた部屋。俺がいつも座る位置に当然のように鎮座して待ってくれているクッションも、キッチンに並べられた揃いのカップも、いつもと何らかわりなくて、まるで一緒に住んでるみたいで。
 客観的に見て、ちょっと、照れた。
 テレビをつけると、試合前の分析だとかアルゼンチン戦のハイライトをやっているところだった。この分なら俺がシャワーを浴びてきても大丈夫そうだ。
 お茶でも淹れておこうかと立ち上がると、ちょうど浴室から声がきこえた。

「円堂、あがったぞ」
「あ、うん、俺も入っちゃおうかな」
「そうしろよ。試合までもう少しあるみたいだ」

 髪をわしわし乾かしながら、何事もなかったようにリビングへ向かう後ろ姿を見送ってから、浴室に移動した。





 シャワーを浴びると、洗面所にちゃんと俺の着替が置かれていた。といっても女物の服なんてあるわけないし、俺もさすがに服を置いていってるわけじゃないから、豪炎寺の大きめのシャツを借りるくらいのもんだけど。袖を通すと、よく知った豪炎寺の匂いがふわっと鼻腔をかすめて、無意識に顔が熱くなった。
 なんだか今日は、俺ばっかり意識してる。普段あたりまえのように見てるものばかりなのに、ちょっと視点を変えただけでこんなに恥ずかしくなるもんなんだろうか。どれだけ俺の中に豪炎寺の存在が浸透してるかってことに気付かされて無性に恥ずかしくなり、結局上からジャージを羽織ってしまった。豪炎寺だってジャージを着てたし、別におかしくないよな、うん。

 ああ、こんなに意識してるのが俺だけなんて、なんだか悔しい。納得行かない。一緒に韓国戦を見ようっていうのだって、試合は夜なんだからどっちかの家に泊まるのは必然的なのに、それをあっさり言われるのもなんだか癪に障るし、こうして当然のように着替があるのも、なんだか
 俺ばっかり、すき みたいで。

「豪炎寺、あがった。Tシャツサンキューな」
「え?あ、あぁ…」

 ぐるぐる考えていても仕方ないし、時間をかけ過ぎると試合が始まってしまう。いい加減吹っ切ってリビングに移動すると、振り向いた豪炎寺の動きが一瞬とまったように、みえた。

「豪炎寺、どうした?」
「あ、いや、何でもないんだ。試合始まるぞ」

 こっち来い、とソファの隣をポンポンと叩いて示され、言われるがままに隣に座る。風呂あがりだとまだちょっと暑いなあ。とはいっても羽織ったジャージを今更脱ぐのも恥ずかしくて、誤魔化すように肩にかけたバスタオルでだいぶ水分の取れた髪をなでると、横からタオルを奪われた。

「わ、豪炎寺、もうだいぶ乾いたから大丈夫だって」
「ダメだ。風邪引いたらどうするんだ。乾かしてやるからそっち向いてろ」

 サッカー特有の歓声が聞こえる。まもなく試合が始まるようで、両国の選手が整列するのが視界の端でちらっとみえた。それもすぐにタオルで覆い隠されてしまったけど、逆に顔の熱さを消してくれるからいいか。ぼんやりとそんなことを考えていると、後ろから髪を乾かす手がちょっととまった。

「豪炎寺?」
「ダメだ、振り向くな」

 顔を覆っていたタオルをどかして振り返ろうとすると、それを遮るように、タオルごと後ろから抱きしめられた。

「わっ、な、えぇ!?ちょ、ごうえんじ、」
「ごめん、これ以上はなにもしないから、ちょっとだけ」

 一瞬なにが起きたかわからなかった。パニックに陥りそうになる思考を、静かな、けれどかなり切羽詰ったような豪炎寺の声がかき消す。
 バスタオル越しに背中から伝わる温度が、麻薬のように頭を痺れさせて、そして

「…めちゃくちゃ勇気だして誘ったのに、お前があんまりにも無防備だから」

 しぬかとおもった、と
 消え入りそうな小さな声が耳元で聞こえて、それがなにを意味するのか、わかった瞬間に笑いが込みあげた。

「くくっ、豪炎寺、ってさ」
「な、なんだよ、笑うなよな」
「い、いや、だってさ」

 俺は、俺ばっかり意識して、意識しすぎて、豪炎寺があまりに普通だと思って拗ねてた。でも、
 顔に出してなかっただけで、実際はこいつも同じような気持だったのかな。
 ただ同じ部屋にいるってだけで、同じバスルームを使うってだけで、風呂上りに隣り合わせに座るってだけで、このまま破裂しそうなほど心臓が早く動いてるってことも。

「…ばか。俺だっておなじだよ!」

 隙をついて顔だけで振り向くと、真っ赤になった豪炎寺の顔が目の前にあった。ほら、やっぱりおなじだ。
 してやったりって感じで笑うと、ちょっと悔しそうに唇を噛んでから顔が近づく。そのまま唇を浚われると、同じシャンプーの匂いがした。

 
 歓声とホイッスル。
 となりの国ではちょうど試合が始まったところだった。