ままならないもの
人差し指で指されて、降旗はその指を軽く払った。
「馬鹿っていう方が馬鹿なんですよ」
「後輩が口答えするんじゃねーよ」
軽くあしらわれたことに先輩が拗ねる。
簡単だ、この人。
いちいちめんどくさくてちっとも思い通りにならない意中の人を思い出して、降旗はため息をついた。
もうこの人に乗り換えちゃおうかな。
もちろん、そんな簡単に行くわけはないのだが。
淡々とリバウンドを取り続ける意中の人に見惚れていたら、主将に殴られた。
「アホなこと考える前に練習しろ、だぁほ」
バカにアホ。
俺ってなんなのかねぇ、と切なくなる降旗だった。