夏果、追跡。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「・・・・・何それ?」
楽太郎はまるで謎の子供のような絵を見ながらつぶやいた。夏果は自信満々な顔で言った。
「姉ちゃんがあったとかいう男の顔だよ!」
「・・・・・・・・・。」
そんな絵を見たら本人はとても怒るだろうな・・・・・。
などとはなかなか言えない楽太郎は、複雑な顔でへたくそな絵を見つめていた。
それをどうやら記憶を読み取ったらしい夏果は
「・・・・これ結構会心の出来だったんだけどなぁ・・・・。」
それでか、それで!?
思わず叫びたくなってしまう心を沈め、言葉を飲み込んで。その代わりにため息が出た。
「そんなんじゃ子供だって「わかりません」の一言だぞ。」
「んだよ、じゃあかけよ!楽太郎!」
「・・・・・・・・・。」
このガキには礼儀というものがないのだろうか。琥流栖はあんなにしおらしくて守ってやりたくなるような感じで、礼儀正しいってのに。
ああ、あれか。上がちゃらんぽらんだと下がしっかりするように、下がちゃらんぽらんだよ上がしっかりするのか、そういうことか。
だとしたら本当にうまくできてんじゃなかろうかこの世の中は。いろんな意味で。
「・・・・・もういいし、俺が姉ちゃん探してくるし、いつまでたっても帰ってこないから!」
いい加減にしろコラ。そのあと俺はまたおまえというくそガキのお守しなきゃならなくなるのだ。まっぴらごめんである。
そう考えている間に夏果はとっとと島を移動していった。
「あ、こら、待て、馬鹿!」
あわてて追いかける。くそ、走るのだけは早いのな。腹が立つ。
そうこうしていると、モンが次元から飛び出してきた。
『みろよ。あの子供、あたしたちの存在にさえ気付いてないよ。』
『あれで自分は強くなるとか言ってるから笑っちゃうよね。』
『でも見て、あの健全そうな足、白い肌。噂の子ほどふっくらしているわけではないけどとてもおいしそうだよ。余計な臭いは付いてないし・・・・・ククク・・・・・・・。』
『美味しく頂こうねぇ…・』
『骨までしゃぶって髄液もすべて・・・・。』
『おいし・・・・・あぎゃっ!?!?!?』」
「はいはいー。食べ物の見学中悪いけど邪魔させてもらいますよー。」
『お・・・お前は一体・・・・!?』
モンのうちの一体、スズメバチが頭を石で貫かれていた。その死骸を踏みつぶしながら楽太郎は残りのモンに向かって石を投げつける準備をしている。
『まさか…・たかが投石で・・・・・?!』
「投石を笑うモンは投石に泣くんだよ・・・・・。小さい大したことなさそうな技でもレベルが上がりゃかなりの技になるぜ?」
『だまれ小童が!貴様も喰らってやるわっ!』
「はぁ・・・・・。」
溜息をついている間に楽太郎の体が蜘蛛の体に貫かれる。が、手ごたえがなかった。幻影だったのだ。
気が付くと蜘蛛は体を焼かれ黒こげになっていた。
『な・・・・・っ!?』
「・・・・投石だけで修羅場くぐれると思うほど俺も馬鹿じゃないぞ・・・・・・。
/storm!」
ほかのモンたちが竜巻で強制的に竜巻の中央に寄せられる。
「/thunder!」
その中心に、楽太郎は雷を叩きつけ、
「/hammer!」
とどめにモン達をたたきつぶしたのだった。
「ったく・・・・・虫は虫らしく共食いして、最後に潰されとけ・・・・。」
そう呟き、薪を発動させる。幸いここのエリアは沼のような場所が多い。
炎の魔法を発動させても、火事はあまり起こらないだろう。
「っと!いっけね。すっかりあの馬鹿見失った!」
再び夏果を追うため、楽太郎はあわてて追跡を使い夏果というお子様のお守を再開させるのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――― 一方。
「琥流栖さん、ぼ・・・僕なんかでいいんでしょうか?」
すこしおどおどした口調でしゃべる男と琥流栖、爪太郎がいた。
「あ・・・・全然いいですよ。料理もできて、楽器弾けて、歌だって歌えるなんてすごいじゃないですか。憧れちゃいますよ。そういう男の人って・・・・。」
琥流栖はやんわりした感じで言う。
「・・・・・・・・。」
爪太郎はその様子を無言で見つめながら思った。
(心はもう大丈夫だけどあとは体が男を拒絶しなくなるか・・・・・そこが問題だね。)
爪太郎は琥流栖が出会って男を調べてみたが、あれが男じゃなくて少年、下手したら少女に見えるくらいだ。それを琥流栖は男と見抜いたのは称賛に値するが、男にあまり見えない人間とうまく接することができてもだめなのだ。男らしい人に出会っても普通に生活できるようにならなければならないのだ。
なので、今回は心を鬼にして、バイト募集を行った。現に琥流栖だけでは、店を切り盛りするには限界が来ている。これを機に募集してみたが物事は試すものだと今回は本当に思う爪太郎である。
そう思いながら爪太郎は再びその男に視線を戻す。
「うん、余裕で合格だと思うよ。見た目も悪くないし(^^)」
「そ・・・・そうですか?そんなこと言ってもらえるとうれしいですー。」
顔を赤らめながら男は照れている。
うん、この感じの男なら琥流栖に変な気は起こさないだろうし、ま、オッケーかな。
「それじゃ、翌日働いてもらうからw」
「え・・・?」
「くすくす、ここのお店は忙しいから覚悟してね?」
「え・・・・。」
男は少し不安を感じたようだ。おろおろしだしている。琥流栖はあわてて付け加える。
「だいじょうぶ。チャンと休日もあるから、ご主人さま、あまりこの人を脅さないでください。」
「いやー、こういう可愛い子見るとな、かっかっかっ。」
「まったく・・・・あ、そういえば名前は・・・?」
「あ、ぼくはですねー、グリス、グリス=ベルナール=シャルロ=ブランシャールっていうんですよー。長いでしょー。」
「あ、はい・・・・えっと、えっと・・・・・。」
今度は逆に琥流栖がおろおろしだしたので、グリスは笑いながら付け加えた。
「覚えきれなかったらグリスでいいですからねー。」
「ごめんなさい・・・…なかなか人の名前覚えられなくて・・・・・メモとか取ってるんですけど・・・・・ごめんなさい・・・・。」
琥流栖は顔を赤くしてうつむいた。
「大丈夫ですよー。あ・・・・・そういえば名前まだ聞いてませんでしたね。あなたの名前ってなんていうんですか…?」
「あ、え・・えと・・・・琥流栖っていいます。」
「琥流栖ちゃんですか。かわいらしい名前ですねー。」
グリスは微笑みながら琥流栖の頭をなでる。
「あ、あの・・・・・/////」
爪太郎はそれを微笑ましく見つめながら、少し大きな声で
「はいはい、お戯れはそのくらいにしてね!あなた人の名前と顔覚えれるんですってね?」
「あ、はいそうですが・・・・・・。」
グリスは首をかしげる。爪太郎は先と変わらす音量で話を続ける。
「・・・・・何それ?」
楽太郎はまるで謎の子供のような絵を見ながらつぶやいた。夏果は自信満々な顔で言った。
「姉ちゃんがあったとかいう男の顔だよ!」
「・・・・・・・・・。」
そんな絵を見たら本人はとても怒るだろうな・・・・・。
などとはなかなか言えない楽太郎は、複雑な顔でへたくそな絵を見つめていた。
それをどうやら記憶を読み取ったらしい夏果は
「・・・・これ結構会心の出来だったんだけどなぁ・・・・。」
それでか、それで!?
思わず叫びたくなってしまう心を沈め、言葉を飲み込んで。その代わりにため息が出た。
「そんなんじゃ子供だって「わかりません」の一言だぞ。」
「んだよ、じゃあかけよ!楽太郎!」
「・・・・・・・・・。」
このガキには礼儀というものがないのだろうか。琥流栖はあんなにしおらしくて守ってやりたくなるような感じで、礼儀正しいってのに。
ああ、あれか。上がちゃらんぽらんだと下がしっかりするように、下がちゃらんぽらんだよ上がしっかりするのか、そういうことか。
だとしたら本当にうまくできてんじゃなかろうかこの世の中は。いろんな意味で。
「・・・・・もういいし、俺が姉ちゃん探してくるし、いつまでたっても帰ってこないから!」
いい加減にしろコラ。そのあと俺はまたおまえというくそガキのお守しなきゃならなくなるのだ。まっぴらごめんである。
そう考えている間に夏果はとっとと島を移動していった。
「あ、こら、待て、馬鹿!」
あわてて追いかける。くそ、走るのだけは早いのな。腹が立つ。
そうこうしていると、モンが次元から飛び出してきた。
『みろよ。あの子供、あたしたちの存在にさえ気付いてないよ。』
『あれで自分は強くなるとか言ってるから笑っちゃうよね。』
『でも見て、あの健全そうな足、白い肌。噂の子ほどふっくらしているわけではないけどとてもおいしそうだよ。余計な臭いは付いてないし・・・・・ククク・・・・・・・。』
『美味しく頂こうねぇ…・』
『骨までしゃぶって髄液もすべて・・・・。』
『おいし・・・・・あぎゃっ!?!?!?』」
「はいはいー。食べ物の見学中悪いけど邪魔させてもらいますよー。」
『お・・・お前は一体・・・・!?』
モンのうちの一体、スズメバチが頭を石で貫かれていた。その死骸を踏みつぶしながら楽太郎は残りのモンに向かって石を投げつける準備をしている。
『まさか…・たかが投石で・・・・・?!』
「投石を笑うモンは投石に泣くんだよ・・・・・。小さい大したことなさそうな技でもレベルが上がりゃかなりの技になるぜ?」
『だまれ小童が!貴様も喰らってやるわっ!』
「はぁ・・・・・。」
溜息をついている間に楽太郎の体が蜘蛛の体に貫かれる。が、手ごたえがなかった。幻影だったのだ。
気が付くと蜘蛛は体を焼かれ黒こげになっていた。
『な・・・・・っ!?』
「・・・・投石だけで修羅場くぐれると思うほど俺も馬鹿じゃないぞ・・・・・・。
/storm!」
ほかのモンたちが竜巻で強制的に竜巻の中央に寄せられる。
「/thunder!」
その中心に、楽太郎は雷を叩きつけ、
「/hammer!」
とどめにモン達をたたきつぶしたのだった。
「ったく・・・・・虫は虫らしく共食いして、最後に潰されとけ・・・・。」
そう呟き、薪を発動させる。幸いここのエリアは沼のような場所が多い。
炎の魔法を発動させても、火事はあまり起こらないだろう。
「っと!いっけね。すっかりあの馬鹿見失った!」
再び夏果を追うため、楽太郎はあわてて追跡を使い夏果というお子様のお守を再開させるのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――― 一方。
「琥流栖さん、ぼ・・・僕なんかでいいんでしょうか?」
すこしおどおどした口調でしゃべる男と琥流栖、爪太郎がいた。
「あ・・・・全然いいですよ。料理もできて、楽器弾けて、歌だって歌えるなんてすごいじゃないですか。憧れちゃいますよ。そういう男の人って・・・・。」
琥流栖はやんわりした感じで言う。
「・・・・・・・・。」
爪太郎はその様子を無言で見つめながら思った。
(心はもう大丈夫だけどあとは体が男を拒絶しなくなるか・・・・・そこが問題だね。)
爪太郎は琥流栖が出会って男を調べてみたが、あれが男じゃなくて少年、下手したら少女に見えるくらいだ。それを琥流栖は男と見抜いたのは称賛に値するが、男にあまり見えない人間とうまく接することができてもだめなのだ。男らしい人に出会っても普通に生活できるようにならなければならないのだ。
なので、今回は心を鬼にして、バイト募集を行った。現に琥流栖だけでは、店を切り盛りするには限界が来ている。これを機に募集してみたが物事は試すものだと今回は本当に思う爪太郎である。
そう思いながら爪太郎は再びその男に視線を戻す。
「うん、余裕で合格だと思うよ。見た目も悪くないし(^^)」
「そ・・・・そうですか?そんなこと言ってもらえるとうれしいですー。」
顔を赤らめながら男は照れている。
うん、この感じの男なら琥流栖に変な気は起こさないだろうし、ま、オッケーかな。
「それじゃ、翌日働いてもらうからw」
「え・・・?」
「くすくす、ここのお店は忙しいから覚悟してね?」
「え・・・・。」
男は少し不安を感じたようだ。おろおろしだしている。琥流栖はあわてて付け加える。
「だいじょうぶ。チャンと休日もあるから、ご主人さま、あまりこの人を脅さないでください。」
「いやー、こういう可愛い子見るとな、かっかっかっ。」
「まったく・・・・あ、そういえば名前は・・・?」
「あ、ぼくはですねー、グリス、グリス=ベルナール=シャルロ=ブランシャールっていうんですよー。長いでしょー。」
「あ、はい・・・・えっと、えっと・・・・・。」
今度は逆に琥流栖がおろおろしだしたので、グリスは笑いながら付け加えた。
「覚えきれなかったらグリスでいいですからねー。」
「ごめんなさい・・・…なかなか人の名前覚えられなくて・・・・・メモとか取ってるんですけど・・・・・ごめんなさい・・・・。」
琥流栖は顔を赤くしてうつむいた。
「大丈夫ですよー。あ・・・・・そういえば名前まだ聞いてませんでしたね。あなたの名前ってなんていうんですか…?」
「あ、え・・えと・・・・琥流栖っていいます。」
「琥流栖ちゃんですか。かわいらしい名前ですねー。」
グリスは微笑みながら琥流栖の頭をなでる。
「あ、あの・・・・・/////」
爪太郎はそれを微笑ましく見つめながら、少し大きな声で
「はいはい、お戯れはそのくらいにしてね!あなた人の名前と顔覚えれるんですってね?」
「あ、はいそうですが・・・・・・。」
グリスは首をかしげる。爪太郎は先と変わらす音量で話を続ける。