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南天こった
南天こった
novelistID. 11402
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あとは飢え死にするだけだ!!

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飢える飢える飢える





空腹感とは少し違うその感覚に静雄はずっと悩まされている。
どれだけ食べても満たされない。何を食べても満足できない。

そう、竜ヶ峰帝人という少年を口に含む以外には。





「…っふ…ぁ……は…」

学校帰りだという少年を挨拶もそこそこに路地裏に連れ込むと深く深く口づける。

薄い唇に噛み付いて、その舌を味わうと今まで俺を苛んでいた飢えが満たされて徐々におさまってきた。
だが、息が上手くできなくて苦しそうに静雄の背中を叩く帝人を気遣って唇を離すとまたすぐに足りないのだと静雄のなかの飢えが頭をもたげはじめる。
生理的に浮かんだ涙を舐めとると口に広がる帝人の味にもっともっと欲しいのだと心が渇きを訴えた。

「…帝人」
「なんですか?」

静雄の中の獣じみた感情など全く気付いていないだろう小さな恋人は小さく首を傾げてみせる。

「俺は…いつかお前を喰っちまうかも知れねぇ」

少年はその言葉に目を見開いて、でもすぐに優しく微笑んだ。

「いいんですよ、静雄さん」

クスクスと笑う少年は静雄の首へと手を伸ばし首筋を辿って静雄の頭を優しく包む。
今度は静雄が目見開く番だった。
少年は静雄の頭を優しく包みこみ、あろうことか自分の首筋へと導いた。

「僕、静雄さんになら食べられたっていいんです」

白い首筋に喉がなる。
恐る恐る歯をたてると静雄はゆっくりとそこに噛み付いた。






もっともっとと少年を求める心は止まることを知らない。

例えこの少年を喰らい尽くし、全てを自分の中へと納めたところで自分が満足するとは思えない。
一時の満足とともにもっともっとと少年を求めるだろう。



もう帝人はいないのに…



そしたら俺はもう2度と満たされない。





『あとは飢え死にするだけだ!!』