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池袋の中心で愛を叫ぶ

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信号待ちで君に声をかけられるのを待っていた。君なら絶対そうしてくれると思っていた。信じていた。今の今まで。赤信号が点滅を始めて緑色の光がぼんやりと夜の街を照らす。俺の横をそれぞれに何かを抱えた人たちが通り過ぎていく。たまに見知らぬ誰かの手が、足が、俺にぶつかっては、去っていく。君とはそんなふうになると思わなかった。思いたくなかった。だけど、そうか、君は、君は去っていくんだな。俺より大切なものを見つけて、それを守るためにこれからは生きるんだ。その邪魔をしてやる方法を俺は瞬時に百ぐらい思いついて、そしてそれを実行に移すことを考えて、やめた。あほらしい。何もかもがあほらしい。「シズちゃんなんかだいきらいだ、」つぶやいた声は虚しく空に消えて、信号がまた点滅を始める。青い光が赤くなった。立ち尽くす俺を、ただ赤く輝く光だけが見つめていた。
作品名:池袋の中心で愛を叫ぶ 作家名:坂下から