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アイスクリームを召し上がれ。

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side:KAITO



今日は、朝から気持ちよく晴れている。
雲ひとつない青空というのは、こういう空を言うのだろう。

暑すぎず寒くなく、なんとも気持ちのいい天気だ。

こんな日は、布団を干すものと、相場が決まっている。
というより、今日しないで、何時するのかと。
晴れの日に布団干しをするのは、国民の義務なんです。多分。



「~~~~♪」

シーツやカバーは洗濯機へ。今頃、ぐるんぐるん回りながら、真っ白に生まれ変わっていることだろう。

布団専用の物干し台を引っ張り出し、綺麗に拭いてから、敷布団や掛け布団を干していく。
枕も虫干しすべく、縁側に一列に並べた。


よし、今夜は、ふっかふかの布団で寝られるぞ♪


みんなの喜ぶ顔を想像しながら、洗濯機が終わったか見に行こうと振り向くと、

「カイ兄!買い物付き合って!!」

リンが、いきなり飛びついてきた。

「うわっ!!え?何?お兄ちゃん、シーツ干さなきゃいけな」
「いい
から早く!!」

強引に腕を引っ張られ、二・三歩よろめく。


いやいやいやいや、ここでついて行ったら、シーツを誰が干すのかと。
まあ、めーちゃんかミクが干してくれるだろうけど、後で叱られるのは目に見えているわけで。


「リン、ごめん。お兄ちゃん、まだすることがあるから」

優しく、優しーく、そっと手を解こうとすると、リンは、急に眉を寄せて、

「・・・リンのこと、嫌い・・・?」
「ええええええええええええ!?何でそんな結論に!?」
「だって・・・買い物に付き合ってくれないなんて・・・カイ兄は、リンのこと、嫌いになっちゃったんだ・・・」

目をうるうるさせて、上目づかいで言ってきた。


いやだってあのシーツを干さないといけないっていうかみんなにふかふかのお布団で寝てもらいたいだけでそんなつもりは・・・つもり・・・は・・・


「わ、分かったよ、リン。一緒に買い物に行こう?ね?だから、泣かないで」
「・・・本当は、嫌なんでしょ?・・・無理しなくてもいいよ・・・」
「い、嫌じゃないよ!!本当だよ!!わーい!!リンと一緒に買い物に行けるなんて、お兄ちゃん嬉しくなっちゃうなー!!」

リンの体を抱えあげると、リンは、ぱっと笑顔になって、

「ホント?リンも嬉しい!!」
「お兄ちゃんも嬉しいなー!!あはははー!!」


・・・・・・はあ。




リンが何処で何を買いたいのか、全く見当もつかないけれど。
まさか、電車で片道30分もかかるとはね!!


え、ちょ、何ですかこれ。何でこんなに遠出してるんですか。お兄ちゃん泣きそうなんだけど。


来たのは、かなり大きな総合百貨店。食料品から家電家具まで揃ってしまう。


あー、新しい掃除機欲しいなー。
最近のは、小さくて音も静かなんだなー。


家電売り場で、新型掃除機のデモンストレーションを眺めながら、ため息をついた。


「カイ兄はついてきちゃダメ!」と、何とも理不尽な命令を受けたので、ここでリンが戻ってくるのを待っていなければいけない。


・・・俺がついてきた意味って・・・。


まあ、リン一人で、こんな遠出させるのも心配だし。
決してシスコンじゃありません。女の子の一人歩きなんて、物騒なことこの上ない。

しかも、リンは可愛いから。可愛いから!!
悪い人に誘拐されたりしたら、大変だから!!


「カイ兄、お待たせー。何してんの?」

掃除機のホースを振り回して、架空の人攫いと闘っていたら、リンの声が聞こえた。

「あ、うん。何でもない。目当てのものは買えた?」
「うん、バッチリ!カイ兄、ありがとう!」

笑顔でお礼を言われたら、何でも許せてしまう気がする。

「さ、帰ろっ!お腹空いちゃったー!」
「そうだね。ところで、何を買ったの?」
「えへへ、秘密!」

そう言って、得意げに笑った顔も、やっぱり可愛い。
この笑顔が見れただけで、買い物に付き合った甲斐があったかも。



家に帰ったら、めーちゃんのお小言が待っていた。


うん、まあね。シーツと枕カバーを、洗濯機に入れたままだしね。
布団も、干しっぱなしだしね。

しかも、途中、リンが「お腹空いた!」と言うので、ファーストフードの店に寄ってました。すいません。

夕飯の前に買い食いするなと言われたけれど、リンを空腹のまま放っておくほうが、酷いと思います。怖いから言わないけど。


正座で1時間説教され、やっと解放された。



「カイ兄!こっちこっち!!」

痛む足をさすりながら、部屋に戻ろうとしたら、リンが自分の部屋のドアを開け、手招きしている。

「リン、どうしたの?」
「いいから早く入って!」

そう言われても、足が痺れてて、早く動けない。のろのろと、精一杯の速度で、リンの部屋に入ると、

「じゃーーーーん!!見て見て!!」

目の前のテーブルに、カップに入った、色とりどりのアイスが並べてあった。

「え?何・・・アイス?でも、あれ?」


おかしい。何かが違う。
見た目は、確かにカップに入ったアイスだ。
部屋の中には、甘い匂いも漂っている。

バニラにチョコにストロベリーに・・・あれ?何だ、これ?


「リン、これってもしかして・・・」
「そう!ローソク!可愛いでしょ!!」

丸くすくわれたアイスのてっぺんから、白い紐がちょこんと顔を覗かせていた。


これって、あれだよね。いわゆる、キャンドルの芯。


えーと・・・もしかして、リンが買ったものって・・・


「リン、もしかして、あの、今日買ったのは・・・」
「そう!これ!!テレビでやってて、絶対欲しいって思ったの!!」


あー・・・なるほどー・・・。
確かに、女の子が好きそうだよねー。

でも、お兄ちゃんは、本物のアイスの方g・・・いや、何でもないです。


「これをね、こうすると」

言いながら、リンがライターで、アイスのてっぺんに火を灯す。
ゆらゆらと揺れる炎が、キャンドルの表面を撫で、そろりそろりと溶かしていった。

それはまるで、本物のアイスが溶けていくようで。


「ね?本物のアイスみたいでしょ?」
「えー・・・ああ、そうだね。うん」

思わず見入っていると、リンが嬉しそうに、

「良かった、喜んでくれて」


え?


「カイ兄に、絶対見せてあげたい!って、思ってたんだ」

リンが、にこにこ笑いながら言った。


えーっと、それって・・・俺の為にこれを?


「あ、ありがとう、リン」
「どういたしまして!」

リンの笑顔を見たら、足が痛いのなんて、どこかに吹っ飛んでしまった。



終わり