二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

喧嘩のち仲直り

INDEX|1ページ/1ページ|

 





喧嘩をした。
きっかけはとても些細なことだったんだ。
それこそ何だったか記憶も曖昧になる程度の。

だけどそれ以来…ぎくしゃくした関係が続いている。


「…相馬」
「…っ…ぇ、あ…なに?」

何をされた訳でも無いのにビクついてしまう。
声をかけられただけなのに思わず肩が震えた。

「……皿、取って」
「ぁ、うん。…はい」

いつもの仕事でさえ、支障をきたす状態がかれこれ一週間ほど続いている。

目が見れない。
話せない。
佐藤の真っすぐな視線だけで怖くなってしまう。


「…、っ…俺…あっちで仕事してるから…」

なんかあったら呼んで、と言い残して背を向けると、逃げるように倉庫へと足を向けた。






「………はぁ…」

気まずすぎる。
というか怯えられている。

きっかけはちょっとした口論だった。
確か轟がどうとかいう感じのくだらないもの。
それでも何故だかその日はやたらイライラしていて、パイプ椅子を蹴飛ばして出て行ってしまった。

それ以来、あの調子である。


「………はぁ…」

今日何度目とも解らない溜息をつく。
こんなんでは仕事なんか手につくはずも無い。
確か今日は二人とも早上がりなはずだ。

帰りに絶対捕まえて話をしよう、と佐藤は密かに心に誓うのだった。





仕事終わり。
いつものような覇気などどこへやら。
更衣室で絵に書いたようにへこんでいる相馬に声をかける。


「…話、あんだけど」
「…えっ…はな、し?」
「そんなに時間かからないから」
「………うん」


なんとか連れ出すと、停めておいた車に促す。
後部座席に乗ろうとするのを、半ば無理やりに助手席に押し込んだ。


「あの、さ…」
「………」


立ち込めた沈黙が重い。
一言謝れば済むのに、その一言が言えない。



「……ごめ…んなさ……」

蚊の鳴くような声で告げられた謝罪。
先を越されて驚いて見れば、相馬の瞳は今にも零れ落ちそうなくらいの涙が溜まっていて。
瞬きと共に決壊した涙は留まることを知らずに頬を伝う。

「……謝る…から、別れ、…ないで…っ…ひっく…」

何かを誤解しているらしい相馬は小さくなったまま、はらはらと涙を落としつづける。

「俺、さとーくんのこと…」

続く言葉が解ったからこそ言わせない。
乱暴に涙を拭ってやると、言葉を飲み込むように唇を塞いで深く口付けを交わす。
それが総ての答えになるから。

「ん…っふ…、…はぁ…」

「…っ……別れてなんかやるかよ、ばーか」







(…いきなりキスとかずるい)
(あ?ごちゃごちゃ言うからだろ?)
(誰か見てたかも知れないじゃん…っ////)










作品名:喧嘩のち仲直り 作家名:ちぇっく