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あい?まい?みー?MINE!!

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「帝人、先生。あの…俺にも、勉強教えてくれませんか?」

「はっ?」

思い掛けない言葉に、言われた当人は勿論、静雄も驚いている。
何を言い出すのだ、と如実に顔に出ている兄とは違い、どう反応を返されても、それに対する幽の顔はピクリとも動かない。

「兄さんの邪魔はしないよ。…駄目、ですか?」

上目遣いで目を覗き込まれ、帝人は言葉に詰まる。良いか悪いかで聞かれれば、自信の無さ故、遠慮したい気持ちもある。
だが、真っ直ぐに見上げられる眼差しは透徹としており、酷く純粋で、否を紡ぐ事を躊躇わせる力があった。
目力があるとでも言えば良いのだろうか、帝人は窺う様に静雄に目を向けると、静雄も弟の真摯な態度に、渋々ながら首を縦に振った。

「えぇと…僕なんかで良ければ。見てあげられるかどうかは別として、折角だし、一緒に勉強しよう。僕とも仲良くしてくれると、嬉しいな。」

はにかむ帝人に、少し瞳の色を和らげた幽は、盆を置きに部屋を出て行った。

背を見送った帝人がポツリと。

「平和島君、君の弟さん、嬉しそうな顔してたけど、僕で本当に良いのかな。」

零した言葉に、静雄は思わずシャープペンを落とした。
家族でも偶に読み切れない事もあると言うのに、その彼等を除き、幽の感情の揺れを見抜ける人間など、初対面であれば尚更、ほぼ0に近い。と言うより、これまで居なかった。
静雄から見ても確かに弟は嬉しそうであったし、随分と大きな変化であったから、静雄なら付き合いの長さもあって当然無表情でも読み取れる。
だが、帝人と幽はこれが初対面であり、彼はそれまでを覆した事になる。
自分の間合いに素知らぬ顔をして堂々と入り込んでくる豪胆な帝人の性質を思い出し、まだまだ理解しきれない家庭教師の実体について、静雄は改めて感心した。

と共に、ずっと気になって事を、ここで言わねばならないと、帝人に切り出す。

「竜ヶ峰先生、俺の事、静雄で良いんですよ。」

幽が加わるならば、静雄だけが名字なのは変だろうと、代議名分を掲げて呟けば、その心情を悟った帝人はちいさく笑み、「じゃあ、これからは静雄君ね。」、と密やかに言った。