恋は、思案の外
どうして、俺では、駄目なのだろう。
こんなにも、こんなにも、・・・・・・・・
恋は、思案の外
「―――――八千代、」
「話が、あるんだ」
「あれ?」
何事も、起きるのは突然だった。
週もかわり、新たに壁に貼りだされたシフト表。
彼とシフトが重なっているかどうか確認するために、胸を高鳴らせながら見る。
が、
かすかに感じる、違和感。
「(佐藤くんが…………)」
本来なら、自分の名前の上にあるはずの「佐藤潤」の文字、
それが
「……………ない、」
つめられてしまった、一人少ない名簿。
突き付けられた現実を、俺は未だ受け入れることができなかった。
「あれ?佐藤さん、やめちゃったんですか?」
「小鳥遊君・・・・」
出勤してきた小鳥遊君が俺の背中越しにシフト表を見て、ポツリと呟いた。
「小鳥遊君も知らないの??」
「小鳥遊君もって・・・・相馬さんも知らなかったんですか?・・・・・・・・・・・・珍しい」
「珍しいって・・・・・」
なにやら聞き捨てならない台詞抱けど、今はあえて無視して話を進めた。
「佐藤君・・・・・・なんでやめたんだろ・・・・・・」
「先週は何も変わった様子はなかったですよね・・・?」
「「うう~~~ん・・・・・」」
考えても、何も思い浮かばない。
シフトが重なるたびに佐藤君のことを見ているけれどなにも・・・・・変わりはなかった。そう思う。
いつものように、暇な時間になると轟さんの話を・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・轟さん・・・?」
「??チーフがどうかしましたか?」
まさか、
まさかまさかまさかまさか・・・・・・!!!
『告白して、駄目だったらすっぱりとバイト辞める』
いつだったか、佐藤君が言った言葉。
まさかまさかまさかまさかまさかまさか!!!!!
思い当たる唯一の理由。
「(佐藤君は轟さんに―――――――)」
出来れば、永遠に来て欲しくなかった、
「(告白、したんだ)」
真実を受け入れる音が出来ない俺は、ただ立ち尽くすしかなかった。