落日
自己喪失
失う
消失
なくす
理解不能
ぼく・きみ
曖昧な境界線
劣等感と、
赦
ぼろりこぼれる
きみはぼくで、ぼくはきみではないでしょう
それをいちばんわかっているのだから、ぼくはいつまでも
曖昧になる
貸しているんじゃないんだ
それが、きみでいいんだ
だか、ら
視覚だけでは
模写
らら、ら
知っていれば、知っているほど似るものなんだよ?
輪郭線、表情、癖、仕草、眼球の動き、筋肉の収縮、思考
こころ、まで
とは。
目を閉じたってわからないんだよなぁ?
「僕だけわかれば、それが」
めかくし。
きみの体温
「髪、触ったら判ります。先輩の髪、ほんとうは―」
きみのなかに、はいる
「思考も似てきた?」
「冗談!」
「体温、ちがう」
脈の打ち方まで、重ならない?
希望
翔る
翻し、闇になる
「僕以外になるだなんて」
君がいないときは、自分を見ればさみしくないだろう?
どんな顔して言ったらいい、
「ぼくは」
九々知の受難
無自覚のヤンデレ 不破
思春期の天才児 鉢屋
「僕は、僕の得に成らない事しか思考にないけど、あの二人は完全に何も得ないと思うよ?」
「斉藤、忍びを志したときから、恋情なんて僕らとうに捨てているんだ」
たとえ、せかいのすべてが
「自己を失っていく彼を一番近くで見ていたいんだ。
アイデンティティを喪失し、写し取る事だけに特化された彼のこころが
ひしゃげる音をきいてみたいとは思わない?」
心臓が、潰れる音を静かに聴いた
僕は、解っている振りをして、彼の肩を抱いた
震えが収まらない君に、ぼくは、
彼の心臓になるんだ、存在しないと生きていけなくなるように
「雷蔵の悪趣味は病気だなぁ?」
「そう?」
「なにが欲しい?」
「鉢屋三郎」
にこり、笑った。春の陽射しのように穏やかだった。彼は鉢屋が欲しいといった。
そう僕に言ったんだ。
なにが?、なんて繋げることは出来なかった。
心も、肉体も、全てを
最早ほとんど手に入れているであろうに。
*
こうして、触れて、そのうち同化してしまえばいいと思わない?
、この顔に文句でも?
違う。でも、脈や血液や心臓の形は違うじゃないか
完全に不破になったら、お前、
そうだね、僕は、きみが
*
わからないじゃないか。わたしだってこと。
きみが、すきなのだものね
*
では、きみとは
僕
*
一ミリ程度の、感覚のずれ
「なんか、少し雰囲気が違うから分かったり、分からなかったりするんです」
「あぁ、それはわざとさ
眼球をわざとオリジナルにしているんだ。
だって、そうしないと潰れてしまうかもしれないだろう?」
分かるか、分からないかのギリギリのラインでの視線の配りや単純な表情を変えているのは
最初は彼に対してのなにか、だった。
双生児ですら若干の違いは有るのだ。
完全なコピーとして日常にいるのであれば、彼の気は何時しかふれてしまうのではないかという
わたくしの、畏怖
しかし、実際は違うところにあった。
潰れてしまうかも、しれないだろう、わたくし、が