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約束事

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美咲が中学校から戻ると、辰巳が小学校でひと暴れして両親が教師から呼び出しを受けたことを聞いた。やんちゃ盛りの辰巳が大なり小なりの怪我をして帰ってくることはたびたびあったが、そんな大事になったのは初めてのことだった。
教師が騒ぎを聞いて駆け付けた時には既に辰巳の独壇場で、喧嘩というよりは一方的なものにしか見えなかったらしい。小学校での年齢差はかなり大きく、まず体格が随分と違うのだが、そんなことものともせずに辰巳は年上の少年たちを地に伏せさせていたそうだ。
美咲から言わせれば、そんなのは当然だ。辰巳のことは日頃から美咲が鍛えているのだから。ただ身体が大きいだけの相手なんかに、辰巳が負けるわけがない。
しかし、教師たちにとってはとんでもないことだったようだ。辰巳を取り押さえてすぐに、両親に連絡がいったことからもそれがわかる。
教師や両親は騒ぎの原因を当事者たちに訊いたらしいが、答えるのは相手の少年たちばかりで辰巳がいきなり殴りかかってきたと言ったらしい。当の辰巳はうんともすんとも言わずだんまりで、大人たちは困り果てているのだそうだ。
そこで、両親は辰巳から話を聞いてきて欲しいと、美咲に頼んできた。お姉ちゃんよろしくねと脳天気そうな顔をしていた二人だが、辰巳に対する人選は正しい。幼い頃どころか、それこそ産まれた時から美咲の恐怖政治が骨の髄まで身に染みている辰巳は、基本的に美咲には逆らわない。
仕方がないと引き受けた美咲は、返事も待たずに辰巳の部屋にずかずかと押し入る。ベッドの上で体育座りをしているどこもかしこも傷だらけの辰巳の前に、美咲は仁王立ちで立ちはだかり、腰に手を当てた。
「辰巳あんた、学校で最上級生と喧嘩したんだって?」
「……。」
「返事。」
「いてえっ!…した!したよ!」
私の言葉を無視するとはいい度胸だと、両の拳を辰巳のこめかみの辺りでぐりぐりと回す。痛みに悶絶しながらも、辰巳は頷いた。
「んで、原因は?」
「それは…。」
また痛くされたいのかと握り拳を見せればビクリと身体を震わせるが、辰巳は黙ったままだった。
来るなら来いと意志強く睨みすえる眼に、覚悟を決めてぎゅっと噛み締めた唇。頑固さが前面に押し出された姿を見れば、美咲にとっては何があったかなど考える必要すらないことだ。
(辰巳の分際で、私に隠し事とは生意気な。)
そう思いつつも、気を抜けば頬が緩みそうになる自分を美咲は自覚していた。
「じゃあ、質問変えるわ。腹立った奴は全員ぶん殴れたの?」
「…おう!」
「ならよし。」
「へっ?いいのか?」
もっと怒られると思っていたのだろう辰巳は、驚きに眼を見開く。その眼を正面から見つめて、美咲は辰巳の頭をがしがしと撫でた。
「辰巳、ようっく覚えておきなさい。友達がやられて黙っているような奴は、男じゃないわ。」
なんでそれを知って、と言いたそうな辰巳を無視して、美咲は意地悪く笑う。
「そして、私はそんな情けない弟なんて持った覚えはないの。」
(だって私の弟だから。いい男になるに決まってるじゃない。)
「そうでしょ、辰巳?」
「…あったりまえだ!」
美咲の問いに返ってきたのは、得意満面な笑顔だった。









古市が拉致されたあたりの男鹿の台詞と男鹿姉弟が好きで混ぜたらこんなことになりました。
実はべるぜの女キャラでは美咲さんが一番好きです。美咲さん絶対いい女だよ!男鹿が唯一頭上がらない相手っていうのもツボです。
そして、この話の友人もやっぱり古市な気がする。


作品名:約束事 作家名:六花