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Happy Wedding?

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教会の鐘が鳴る。

 白いタキシードを着た青年の右側にはウエディングドレス姿が、左側には白無垢姿がある。
 一般的に見れば、二人の花嫁を娶った羨ましい男の図だ。
 まあ、花嫁の方が背が高く見えるのはご愛嬌だろう。
 しかし幸せ絶頂である筈の青年の表情は疲れたような影を帯びており、招待客の大半も同情的な眼差しを彼に注いでいた。

「ちょっと。不本意なのは僕も同じなんだから、自分ひとりだけ不幸そうな顔するな」
「そうですよ、どうして僕が……」
 花嫁衣裳は綱吉に着せたかったのに。
 ウエディングドレス姿の雲雀と白無垢姿の骸は、異口同音に呟く。
「全部あんた達の所為だろ!?」
 堪らず彼は叫んだ。



 発端はボンゴレ10代目に持ち込まれた見合い話である。
 若くそして人柄の良い彼を気に入り、旦那を説得して娘を彼の嫁に、と息巻くマダム達が多くいた。
 娘達としては彼の周囲つまり守護者目当てだったりするのだが、いざ彼と話をしてみるとその素朴さとずっと傍に居たいと思わせる空気に惹かれてしまう。
 けれども其処で女同士の醜い争いがひとつも起きないのが、彼の人徳だろう。

 見目良し、家柄良し、器量良しの娘達。
 しかしこれに難色を示したのは意外にもリボーンだった。
 曰く、「ダメツナの隣に立てるだけの器が無い」。

「どうしてだい、リボーン?」
「ツナの守護者は、あいつらだぞ」
 そう言われ、9代目も黙り込んだ。
 一癖も二癖もある、問題だらけの守護者達。
 彼等を納得させるだけの女性はと聞かれれば、答えは『否』。
 それに折角の縁談、どうせなら遺伝子的にも優秀なのが良い。
 そうして世界中から優秀な人材のサンプルを集め。
 ボンゴレが誇るスーパーコンピュータが弾き出した答えが、雲雀恭弥と六道骸だった。

「そういえば、性別を限定しなかったな」
「おいおい」
 しかし此処で候補を選び直さないのがリボーンである。
 更には二人とも面白がって綱吉との縁談を受けてしまった。
 元々以前から綱吉に並々ならぬ興味と好意を抱いていた二人である。
 こんなチャンスを逃す筈が無い。
「良かったな、ツナ」
 両手に花だぞ。
「毒花だよねソレ!?」

 そもそもオレもヒバリさんも骸も男だから!

 悲しいかな、彼の悲痛な叫びは神にも悪魔にも届かなかった。




作品名:Happy Wedding? 作家名:縞まる