二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ゆうぐれ ろじうら ふたりきり

INDEX|1ページ/1ページ|

 
 朝晩の寒さが身に染みる。いわゆる健康的な男性の像とかけ離れている僕は、基礎体温が低く、冷え性でこの時期はとてもつらい。そんな僕とは反対に、新堂さんはある種模範的な男性の体をしている。浅く焼けた肌。ごつごつとした指先。広い肩幅。僕にないものばかり持っている。僕はそれを欲しいとは思わない。
「お前、こんな時期から厚着してたら冬本番どうなるんだよ」
「…膨れ上がります」
 毛糸のカーディガンに、ふかふかのマフラーに顔を埋めて返事をする。時間は夕方、日が沈んできてじわじわと寒気が襲ってくる。そろそろヒートテックの長袖でも買いに行こうかと思う10月の末。新堂さんはまだ、パーカー一枚で充分といった様子だ。むしろ、僕を見て暑がっている。これくらいがちょうどいいのに。
「着ぶくれにしても、ひでえよ…ほれ、手」
「…手?」
 新堂さんがぼんやりしている僕の手を掴んで、目を丸くする。道端を、男同士が手をつないで歩いているのはなかなか不思議な光景だろう。大学生になったというのに、この距離感は依然変わる様子がない。
「つめってえ」
「末端冷え性なんですよ…顔だけ熱いんです」
「え、照れてる」
「違います勘違いしないでください」
 何でこう、前向きなんだろう。からからと笑って、僕の手と彼の手が繋いだまま。彼の手はやけに暖かく、人間というのは同じカテゴリーなのに何でこうも個々が違うのか不思議に思う。僕と彼は同じ人間であるけど、まったく別の生き物のような気がしている。
「俺は暑いから、ちょうどいい」
「そうですか…風邪ひかないでくださいね」
「そのときは看病してくれ」
 言われなくてもそのつもりだと、言葉にする代わりに握り返した。夕日が住宅街のとおくに、沈んでいった。