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正夢をみていた

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それから、の光景はモノクロのようだ。
黒と白。

奇しくもあいつと竜ヶ峰は色が同じだ。黒い髪、白い体、違うのは一つだけ。


俺は休みの電話を入れてからすぐに家を飛び出した。向かったのは以前行ったことがあった竜ヶ峰の家。
だけどそこはもぬけの殻で、一瞬学校へ行ってるのかと思ったが今日は休日だった。
携帯で曜日を確認して、すぐに踵を返す。次に行くのは臨也の家だ。
ムカつくことに俺はあいつの家を知っていた。新宿へ向かう途中で、俺の顔を見た通行人が「ひっ」と悲鳴を上げて飛び退く姿を何度も見た。
自分の顔がこれまでにないくらい不機嫌なものだということが嫌でもわかる。


(そんなことはどうでもいい。俺の評判なんて今さらだ。それよりも竜ヶ峰、竜ヶ峰が・・・っ)


夢は必ず当たる。すべてが正夢。それを本当にするかどうかは俺の行動だけだ。
ガツガツと地面を蹴る音がどんどん速くなる。この時ばかりは腕力も体力も有り余る自分の体質に感謝した。

玄関の扉を蹴破ると、靴を脱がないまま上がりこむ。
人の気配がする部屋は1つ。玄関と同じようにそこの扉も蹴破る。

見えたのは小さな体。同じ色合いを持つ人間が2人。
夢と同じ銀色の輪をかけられた両手を頭の上で押さえつけて、シャツのボタンをぷつりと外す臨也の指先。
涙をいっぱいに溜めた竜ヶ峰の大きな瞳。
臨也がこっちを見てナイフを取り出すよりも先に、竜ヶ峰が俺の名前を叫んだ。


「しずおさ・・・っ!たすけて!!」


プチ、と俺の頭の中で何かがキレる音がした。

黒い髪、白い体、違うのは一つだけ――赤く染まった臨也の体。


もういいです、と俺の背にしがみつく竜ヶ峰に気付いたのは、臨也が虫の息になってからだった。
顔は腫れあがり、全身の至るところの骨が折れている。打撲の内出血と皮膚を突き破って流れた血が、赤黒く臨也の体を覆っていた。
それでもぜぇぜぇとあいつの口からは呼吸が漏れている。

(殺す殺す殺す、殺してやる、殺さないと、でないと、竜ヶ峰が、あいつが、)

「も・・っ、やめ、やめてください!静雄さん!これ以上やったら、臨也さんが死んじゃう!」

(何言ってんだ、殺すんだ、こいつは殺す殺さないと)

ガンッともう一発顔を殴れば、びちゃりと血が床に飛び散った。
それでも呼吸は止まらない。
再度拳を振り上げれば、その腕に軽い重みがかかる。視線を向ければ、竜ヶ峰が必死に俺の腕にしがみついていた。
顔を真っ赤にして、涙に頬を濡らして泣いている。

「りゅ・・・が、みね・・?」
「静雄さん、静雄さんっ、もう、いいんです、もういいですから・・・っ」

ぐすぐすと泣く竜ヶ峰が可哀想になって、臨也を押さえつけていたもう一方の手を離して代わりに竜ヶ峰の頬をぬぐってやる。
ふと視界に銀色の輝きが目に入って、今さらながらに竜ヶ峰が手錠を掛けられたままだったことに気付いた。
それを軽く引っ張って壊してやると、竜ヶ峰が両腕を広げて俺に抱き着いてくれた。
すん、と首元で鼻をすすりあげる音が聞こえて、華奢な体をできる限り力を抜いて、そぉっと抱きしめる。


「りゅうがみね、竜ヶ峰っ、竜ヶ峰!!」
「静雄さ、うぇ、うあぁぁぁん!」

俺の胸に顔を埋めて、とうとう大声で泣き出した竜ヶ峰を慰める方法もわからず、臨也の秘書だという女が呼んだ救急車のサイレンが聞こえてくるまで、俺は途方に暮れるほかなかった。

作品名:正夢をみていた 作家名:ジグ