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きらきら星を追いかけて

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パティはさ、とカロルは湯上りの濡れた金色の髪を一生懸命タオルで拭き取るパティを見ながら声をかけた。
いつも二つに結われ括られていた長い髪が解けていて、きらきら光り、こんな色をどこかで見たなあ、とカロルは思いながら「ユーリのこと、すきなんだよね」と訊ねるわけでもなく、確認の意を示して言葉にした。
どうせ訊ねたところで答えは知れたものだ。それが愛だとか恋だとか言葉を当てはめたものじゃなくてもいいのだ。パティの真っ直ぐで素直で自分の感情にでさえ怯まないところは、カロルでさえ分かっているから。
それを知ってか知らずか、パティは髪を拭いていた手を止めてカロルを振り返り、さも当たり前だといわんばかりに、こくりと首を縦に振った。

「うむ」
「うん、だよね」
「それがどうしたのじゃ?」
「うんん。どうしたこともないんだけどさ」
「?」
「ええと、なんて言ったらいいんだろう」

ああそうだ。と、カロルはここでそのきらきら光っている色をどこで見たのか思い出した。髪の色とかじゃなくて、表情とか声とか、瞳だ。だって、髪の色ならフレンも同じような色を持っているのだから。

「きらきらしてきたなって、思って」

そう言うと、パティは不思議そうに瞬きを繰り返してカロルを見た。
なにか変なことを言っただろうか、とカロルはパティと同じように瞬きを繰り返したが、やはり分からず、そうしている内に突然背後からカロルの頭に衝撃が走った。
カロルと背中同士をくっつけながら本を読んでいたリタから、あんたね、と呆れたような声が飛んでくる。振り向いて、これだからガキんちょは、と一言吐き捨て、剥れながらカロルの隣に座りなおした。その際、カロルの隣に置いてある鞄の中に自分の書物のひとつを取り出すのをちゃんと忘れずに。

「あのさあリタ。なんでいつも打つの?」
「そこにカロルがいるから」

なにその理由、とカロルは一瞬だけ憮然としたが、今リタにまともな返事を期待しても仕方がない。止めてと言えばいいのかもしれないが、このリタの言い分だと直りそうもないとカロルは諦めて、少しだけ痛む頭を撫でた。そんなカロルを尻目にリタは手に取った本を広げ、で、とカロルを促す。

「なにが言いたいのよ」
「えー、と。うん。パティは、初めて会ったときよりも、きらきらしてるなって」

きらきら。
パティの小さな唇が不思議そうにその音を紡ぐ。きょとん、とした表情をしたままカロルを眺めているのを見たリタは、気まずそうに意味のない音を吐き出した。カロルにとっては到って真面目な言葉なのだろうが、リタにとっては理解しがたい表現であり、哲学的な説明だといえる。リタは自分の分野じゃないと思い、ため息をつきながら読んでいた本をぱたりと閉じた。そして閉じた本を何も言わずにカロルの膝の上に乗せて、カロルはそれを自分の鞄の中にごそごそと仕舞う。
やはりパティはその一連のやり取りを不思議そうに眺めていた。

「つまり、パティが変わったっていいたいのよ、こいつは」
「なんでそうなるんじゃ?」
「カロルの感覚はあたしにも理解は出来ないわ。でも、まあそうね」

ユーリと一緒に居れば自然とそうなるのかもしれないけど。
リタはそう言いながら湯から上がったばかりのユーリを見つけて、面白くなさそうに顔を歪めた。しかしその顔がけしてユーリを嫌がっているわけじゃないとカロルとパティも分かったので、カロルはリタの発言に嬉しそうに頷いた。

「ユーリもパティのこと、きっと好きだと思うけれど、ボクらもパティのこと、好きだからね」

そうして笑ったカロルと、隣で照れくさそうに微笑んだリタを見てパティは、きらきら、と口の中でその言葉を大切そうに呟いて、大きく頷き無邪気な笑顔を浮かべた。
溢れんばかりのきらきらをその笑顔に乗せて。

「うちも、みんなのこと、大好きじゃ!」



きらきら星を追いかけて

作品名:きらきら星を追いかけて 作家名:水乃