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一人よりも二人で

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一人よりも二人で


家でことりと遊んでいると、玄関のドアが開く音がした。
ヴェストが帰ってきたのだ。
「おかえり、ヴェスト」と駆け寄ると、「ただいま、兄さん」と返事が返ってくる。
お決まりの答えだが、プロイセンはこれだけでドイツが相当参っているのが分かった。
いや、プロイセンじゃなくても分かるかもしれない。
表情や声がとにかく暗いのだ。
気にしつつ「今日は早いんだな」と言う。
「ああ。上司から早めにあげてもらっていいと言われてな…。時間がとれたから、久しぶりにイタリアや日本と会ってたんだ」
ふーんとプロイセンはうなづく。
「あながち、疲れているところを上司が見て心配して、早めにあげてもらったんだろ。で、イタリアちゃんや日本に会って悩みごとの相談ついでに気分転換しようと思ったら、久しぶりに会って楽しそうなあいつらを見て相談できなくなった。そして遊んだ時の疲れが重なって、今暗い顔をしている…」ってかんじだろと言った。
プロイセンを見て、ドイツは目を瞬かせていた。
「兄さんは俺の心が読めるのか?」
「読めるってことにしといてくれ」
ドイツはまだ驚いているようだが、仕事で忙しいこの時期に早く帰ってくることや、ドイツの様子や言葉、性格から、こんなことはすぐにわかる。
ヴェストのことは何でも知っているんだぜー!さすが俺様!!とケセセセ笑った。
それと同時に、今日はヴェストを労ってやろうと決める。
「で、あいつらに相談できなかったことを話してみろ。この際だから、お前の悩み全部聞いてやるぜ!」
「…ありがとう、兄さん」
申し訳なさそうに、そしてとてもうれしそうに笑った。
それを見て思わず、ヴェストかわいい!と叫びたくなったが、ここでヴェストが相談しづらくするわけにもいかない。
「腹も減ってるだろ?とりあえずメシにしようぜ!」
今日は俺様が作ってやる!と言って、キッチンへと歩いていく。
ドイツも「ああ」とうなづいてプロイセンの後についていった。



この後のドイツの行動に、プロイセンは何度も悶絶しそうになった。
弟がかわいすぎて。
特に何の用もなくプロイセンの後についてくるのだ。
疲れているだろ?休んどけと言ってもこくんとうなづきはするが、そのままついてくる。
ムキムキがついてくると聞くととても恐ろしいもののように思えるが、ドイツだからこそプロイセンはかわいいと思ってしまうのだった。



夕飯を食べ終え、昔を少し思い出しながら言った。
「それで、お前は何に悩んでいるんだ?ヴェスト??」
背中をやさしく一定のリズムでたたきながら。
今更なのにドイツは言うのをためらっているようだった。
せかさずに待つ。
しばらくしてドイツはゆっくりと口を開いた。
「仕事と周りのことなんだが…」
そう言って続く内容はプロイセンの予想通り、仕事や周りのことだった。
中には、他の国なら気にもかけないことまで含まれていた。
プロイセンは聞きながら、こいつは変なところまで真面目でお堅いからなぁ…と思ってしまうほどだった。
そして悩みを少しでも軽くしてやろうと、言葉をかける。
「仕事の方は俺が手伝ってやる」
えっ…とびっくりしたドイツに、「ここんところ忙しそうにしているのを知ってて、お前に全部任せっぱなしだったからなぁ…。でも少ししかやらねーぜ。あくまでお前がドイツなんだから」とにやりと笑う。
「お前の仕事の補佐してやるよ」
…いいのか?と聞くと、ああ、と返事が返ってきた。
ドイツは胸のあたりが暖かくなるの感じた。
思ってもみないことだったのだ。
そしてとてもうれしかった。
しかし、これによって周りから兄離れできていないように思われるという心配ができたが、ドイツはそんな心配をどこかに放置して、「ありがとう兄さん!!」と言った。
兄には言わなかったが、実は自分の兄がニートであることも悩んでいたのだ。
そんなドイツの思いも知らずにプロイセンはプロイセンで、「最近ヴェストと一緒に居れなかったからな…。これでヴェストと一緒にいられるぜ!」とか「さっき、少ししか手伝わないとか言ったけど、もしヴェストが疲れてたら俺が全部やってやる!」などと思っていた。
が、顔を改めて「あと、俺だけに頼ってくるんじゃなくて、あいつらにも頼ること。相談ぐらいしたってバチは当たらねぇからさ」と言う。
分かった。
そう返事が聞こえてプロイセンはケセセセと笑う。
「でも、俺だけに甘えてくるヴェストも超かわいいぜ!」
なっ…!!
ドイツの顔が赤くなる。
それを見てプロイセンは他の奴に頼るのはいいけど、甘えるのは俺だけにしろって言うべきか悩んだ。


次の日からドイツの仕事場では、スーツを着て一緒に働くプロイセンの姿が見られたという。


Ende.




もう「甘える」云々ではなく、兄さん再就職となってしまいましたね。すいません。
なかなか「甘える」がわからなくて、これを書くにあたって色々な人に「甘える」ってどんな様子?と聞いてみたのですが、
みんさんバラバラでした(汗
なので、自分が思う「甘える」でいっています(汗汗汗

作品名:一人よりも二人で 作家名:沙木