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やさしいあなたが、ぼくは

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縋りつく身体は、帝人よりはずっと大きいけれど、どこか幼く感じた。



(本当は)(誰も)(傷つけたくないんだ)



骨が軋むほど込められた力に潜む、嘆き、そして絶望。
ちっぽけな帝人には、彼が持つ哀しみを救うことも癒すこともできないだろう。



(それでも)



震える肩に手を置いた。



(それでも僕は伝えたい)



ゆっくりと、金の髪に触れ、そっと抱き締めた。




「貴方は、とてもやさしいひとです」




帝人は知っている。
激情に負け力を奮った後、貴方の眸に残る絶望の痕を。
何もかも諦めてるくせに、家族を思い遣れる優しい心を。
触れられないと言うくせに、触れようと伸ばされる臆病な指先を。
帝人は、知っていた。



「みんな貴方の力が怖いって、貴方が怖いっていうけど、僕はそう思えなかった。だって頭を撫ぜてくれる貴方の手はとても優しくて暖かいから。たまにぐしゃぐしゃになるまで撫でられて、子供扱いだってちょっとだけ拗ねたくなるけど、嫌いじゃないんです」



上がる顔。呆けたように見る眸。幼い表情に、帝人は少しだけ笑った。




「知ってましたか?僕は貴方のてのひらにずっとずっと救われてるんです」




(知らなかったでしょう?)
そう言って、愛おしげに微笑む少年を男は、
作品名:やさしいあなたが、ぼくは 作家名:いの