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ありえねぇ !! 5話目 後編

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棚から【旧矢霧製薬】と書かれたファイルを引っ張り出す。
かつて自分の下にいた、研究員達を探し出すためだ。
現在ネブラにいるもの、また別の会社にいるものと、それぞればらばらに散ってしまったけれど、個人的にそれなり付け込みやすい弱みはあるもので。

「使い込みの金額が、そろそろ三百万いきそうね。ネブラの人事部に電話を入れてもいいのよ?」
「奥さんとお嬢さんはご存知なのかしら? 愛人が、自分の娘と同じ年だなんて」

ファイルにあるネタをちくりちくりと言う。

美香を捕らえるだけだから、二人もいれば十分だろう。
手下が多くなれば、今度はそっちで徒党を組まれ、自分を害して口を封じようと考える筈。
身が危うくなるのはゴメンだ。

一回こっきりお手伝いすれば、今度こそ縁切りだと、そんな条件を告げれば皆、快く快諾をしてくれて。
折原臨也の助手をやっていて、初めてあの男の情報が役に立ったとほくそえむ。


堕ろさせるなんてとんでもない。
監禁して、生ませてから取り上げて、美香を始末して、その後誠司には自分に託して逃げたと言いくるめさえすれば。

子供を盾にとり、誠司と一緒に一生三人で暮らせるかもしれない。
『赤毛のアン』を育てた、マリラとマシュー姉弟のように、田舎でひっそりと暮らすのもいい。


なんて完璧で素晴らしい未来設計だろう。

「必ず実現してみせるわ。待ってて、誠司♪」

最上の甘い夢を叶える為に、波江もまた、スプリングコートを羽織って、夜の街に出た。


★☆★☆★


だが。

波江からの脅迫電話を切り終えたサラリーマン風の男の裏で、紀田はくつくつと喉を鳴らして笑った。

波江が【首】事件で、帝人を害そうとした詳しい経緯を、さっき捕えたこの波江の昔の部下から、強制的に聞きだしていたのだが、そんな最中にこれだ。


「流石一筋縄ではいかない女狐だよな。けどよりによってお前に声をかけてくるなんて、天は俺にマジ味方してんじゃねーの?」


右手の中指に嵌っている、銀の指輪をくるりと回す。


自分は杏里や帝人のように甘くはない。
逆恨みで仕掛けてくるような逆切れ女を、このまま野放しになんて絶対できないし、丁度臨也の周囲を探れるスパイ役が一人欲しかった所だ。
それが、今彼の秘書に納まっている女なら、こんなに都合のいい奴は他にいまい。



「さあ、新たなコマを捕らえにいくぞ」



★☆★☆★

五話目終了。
あっちこっちで伏線ペタペタ。
しかし静雄、読み返してみたら、今の所明らかに正臣に負けている。
この話は静帝!! と、しつこく自分に言い聞かせてます。