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馬車が止まる。
扉を開けたのは、マスターの婚約者。
僕にちらっと視線を向けると、マスターに笑いかけた。

「間に合って良かった。まだ来ていないよ」
「大丈夫よ。間に合うように戻ってきたんだから」

マスターは馬車を降りると、

「カイト、来なさい」
「・・・はい」

のろのろと馬車を降りる。
俯き、マスターの後をついていくと、

「どうして来たんだ？」

その言葉に、驚いて顔を上げた。
婚約者の彼は、すっと視線を逸らして、マスターとともに行ってしまう。

「早くしなさい」

マスターの声に、慌てて後を追った。