20080815ペーパー小ネタ
ふとサイドテーブルを見やれば、そこには見慣れたXANXUSの銃がホルダーごと無造作に置かれている。あまりの不用心さに思わずXANXUSを振り返ると、いつの間にか目を覚ましていた赤い瞳と目が合った。
「 う゛ お゛」
驚きにスクアーロが小さく声を漏らすと、XANXUSは目を眇めてそれを見ながらベッドの上に上半身を起こす。そのまま右手をスクアーロの方に差し出すと、掠れの残る声で言った。
「よこせ」
「 あ゛ ぁ゛?」
XANXUSの意図するところが掴めず、スクアーロが訝しげに声を上げるとXANXUSは舌打ちをして机上を指さす。
「そいつだ」
言われてスクアーロはそちらに目を向け、ようやく銃を渡せと言われている事に気づいた。
「全く、不用心にも程がねーかぁ? 寝てるときに襲われたらどうすんだぁ」
言いながらスクアーロは手を伸ばし、ホルダーから一丁だけ抜き取ると引き金に指をかけて銃口をXANXUSに向ける。
「こういうことだって、できちまうんだぜぇ」
「その前に消し炭にしてやるから問題ねぇ」
その言葉通り手に揺らめきを生じさせ始めたXANXUSに、スクアーロは苦笑する。XANXUSに向けていた銃口をはずすと、そのまま口元に持って行きその銃身に唇を触れさせた。
「何してやがる」
「こいつもてめーの一部だからなぁ、可愛がってやってるだけだぜぇ」
流し目のような視線を送りながらそう言われ、XANXUSは顔をしかめる。ベッドを降りねば手の届かぬ位置にいるスクアーロに苛立ちを感じた。
「来い、スクアーロ」
その苛立ちを隠さぬままに名を呼べば、スクアーロは小さく笑ってテーブルに残されていたホルダーを手に取り、初めに持っていた銃をそこに収めてXANXUSの方に歩み寄る。
スクアーロの差し出すそれを受け取ったXANXUSはそのまま手首を捕まれて顔をしかめたままスクアーロを見上げた。
「何だ」
「銃に、妬いてんのかぁ」
そう言ったスクアーロはXANXUSの言葉を待たず、深く唇を重ねる。驚いたXANXUSは反射的に身を引こうとし、スクアーロの手に阻まれて仕方なく深いそれを受け入れた。
「誰が妬いてるだと?」
僅かに唇が離れた時を狙いXANXUSがそう言うと、スクアーロは笑ってXANXUSの唇に己のそれを触れさせる。
「お前が」
そのままそう告げられ、XANXUSは胸元に触れてくるスクアーロの髪を掴むと強く引き寄せ今度は自分から深くスクアーロに口付けた。喉の奥で笑うスクアーロの声が口内に響き、XANXUSはどうしようもなく苛立つ己を止められない。衝動のままに目の前の身体を突き放すと、僅かにバランスを崩しながらもスクアーロはまだ笑い続けていた。
「カスめ。何がおかしい」
忌々しそうにXANXUSが問うと、スクアーロは笑いを収めてXANXUSを見る。その表情に一瞬視線を奪われてしまい、それに気づいたXANXUSはスクアーロから視線を外した。そのこめかみに唇を落とし、スクアーロは耳元で囁く。
「何もおかしくなんかねーぜぇ。嬉しいだけだぁ」
XANXUSの手がスクアーロのシャツの襟を掴んで引く。引き寄せられるままに身を寄せながらスクアーロはXANXUSに腕を回し、その身体をゆっくりと抱きしめた。
作品名:20080815ペーパー小ネタ 作家名:あや