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20081013ペーパー小ネタ

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目覚めは珍しく穏やかだった。その日にそぐわぬ穏やかさに、一瞬安楽の地にでも至ったのかと思う。しかし即座に己がそのような場所に至れる人生など送ってこなかったことを思い出し、XANXUSはゆっくりと身を起こした。
「起きたかぁ」
 タイミングを見計らっていたかのようにかけられる声はよく聞き馴染んだものだ。伸びて目にかかるようになってきた前髪をかき上げようとした手が声の主に阻まれる。白い手袋に覆われた右手がXANXUSの前髪をかき上げ、晒された額に唇を触れさせた。
 XANXUSの疑問と、スクアーロの祝辞が重なって部屋に響く。スクアーロを見上げたXANXUSはその言葉に改めて今日の日付を思い出し、渋面になった。
「いい加減諦めて素直に祝われろぉ」
 XANXUSがそれを好んでいないのを知っていてスクアーロは言う。初めの頃は意図してその日を避けたりもしていたが、そろそろ自分に素直になってもいいのではないかと彼は思い始めていた。
「本当はずっと、当日に祝ってやりたかったんだぜ?」
 そう言いながら口付けられてXANXUSは口を噤まざるを得ない。XANXUS自身、こだわりすぎていることは解っていた。それでもどうにもならないと言うことがあるのだと、訴えてやりたかった。
 スクアーロの腕がXANXUSの頭を抱え込む。
「言葉を贈るぐらいは許せよぉ。もう十年以上経ってんだ、そのぐらいの我が儘受け入れたっていいだろうが」
「てめーはいつだって我が儘ばかり言ってやがる」
「 う゛ お゛ぉい! そりゃねーぞぉ!」
 反射的に叫んだスクアーロは、XANXUSがスクアーロの肩に顔を埋めたまま笑っているのに気づいて仕方ないとでも言いたげに頭を撫でた。XANXUSの腕がスクアーロの腰に回り、その身体を抱き寄せる。
「てめーだけがよこすんなら良かったんだがな」
「 あ゛ぁ?」
 首筋に口付けようとしてくるXANXUSを受け止めながら、スクアーロは言われた言葉に首をかしげた。
「そりゃどういう意味だぁ」
「他の奴に上っ面だけ祝われたって意味ねーっつってんだよ、ドカス」
 言葉と共に鎖骨に歯を立てられ、スクアーロは反射的に身を竦ませる。
「オレに祝われてーってことか?」
「てめーならまだましだって事だ」
 先程とは僅かに意味合いを変えたそれに、スクアーロは笑ってXANXUSの髪に口付ける。
「 う゛ お゛ぉい、素直になれよぉ、XANXUS」
「てめーは一体誰に口きいてやがる」
 きつく身体を抱きしめられ、呼吸を阻むほどの強さのそれにスクアーロは降参の意を示す。
「色々あったけど、オレはお前が生まれてきて、お前に出会えて、感謝してるんだぜぇ。これでもなぁ」
 スクアーロの身体がXANXUSにもたれ掛かり、流れた銀の髪がXANXUSの身体を覆うようにまとわりついた。XANXUSは視界をちらつくそれの一房をつかみ取り、無意識に唇を寄せる。
 思わぬXANXUSの行動にスクアーロは動きを止めた。視線を逸らして弛みそうになる己の口を手で覆う。
「オレが、喜んでどうすんだぁ」
「何か言ったか」
「何でもねぇ」
 かろうじて平静を保ったまま返事を返し、スクアーロはXANXUSの身体を抱き返す。感じる温もりにらしくもない安らぎを覚え、XANXUSは目を閉じてその温もりに浸った。
作品名:20081013ペーパー小ネタ 作家名:あや