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20090628ペーパー小ネタ

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XANXUSがスクアーロに触れることが好きだというのは、今のところまだ本人以外には知られていない。
 何だかんだと理由をつけて殴ったりだの蹴り飛ばしたりだのしているのは、実はそう言う理由なのだ。普段から気分のままに動き、暴力的な行動にも出ているせいでスクアーロに対するそれもその一環だと周囲には思われているようである。
 XANXUSにしてみればこれほど好都合なものもない。妙なプライドが邪魔をして素直に触れてやることは出来ないが、逆に言えば理由さえつけば後は触り放題なのである。その髪を掴んで引き倒し、首を押さえつけて馬乗りになる。手のひらはスクアーロの脈動を感じ、座り込んで下敷きにした胸元は呼吸により上下している。
 XANXUSの『理由』を知っているスクアーロにしてみれば堪ったものでは無いと言うのが正直なところだ。それほどまでに人目を気にするのならば、人がいないところで触ればどうだろうかと思いもする。実際、スクアーロはXANXUSに触れられる事が嫌いではない。その熱を、生を刻む肉体を感じるのはとても心地がいい。
 たとえば人払いをした執務室であったり、互いの私室であったり、絶対に二人きりになれることが解っている場合には、XANXUSは素直にスクアーロに触れる。手を伸ばし、頬に触れ、その身体を抱きしめる。
 スクアーロはそれを受け止め、そして返してやる。そうするとXANXUSは、あからさまに表情に出しはしないものの、嬉しそうにその瞳を眇めてみせるのだ。
 素直ではないことも、XANXUSの魅力ではあるのだと思う。しかしそれにも限度があるだろうとスクアーロは思う。
「今度はオレが何したってんだぁ」
 床に仰向けに押さえつけられたままの状態で、スクアーロはXANXUSを見上げる。意識してXANXUSが人目を気にしているのではないと思う。恐らくは無意識の行動だ。XANXUSのプライドが、スクアーロに甘える自身の姿を他者に見せるということを許そうとしないのだろう。
 それは理解出来る。理解は出来るのだが、だからといって言いがかりに近い理由付けて暴力を振るうのもどうかと思う。だからスクアーロは理不尽な暴力を振るわれる度にXANXUSに文句を言っていた。
「自分の事の癖にわかんねーのか、カスが。余りに殴られすぎてその空っぽな脳みそも遂にぶっ壊れちまったか?」
「 う゛ お゛ぉい! バカスカ殴ってんのはてめーだろうがぁ!!」
 あまりな言いぐさにスクアーロは思わず身を起こそうと暴れながらXANXUSに怒鳴る。
「殴られるようなことをするてめぇ自身に理由があるとは思わねーのか」
 暴れているスクアーロとは対照的に、XANXUSはスクアーロの身体を的確に押さえ込んだまま、冷静に言葉を発した。
「ちゃんとした理由があったらオレだってこんなに文句は言ってねぇ。お前が意味わかんねー理由もねー状態で殴ってくるから悪いんだろうがぁ」
「本当にわかんねぇのか」
 トーンダウンしたXANXUSの言葉に、スクアーロは思わず言葉に詰まった。XANXUSは分かれと言いたいのだろうが、そしてスクアーロは本当は分かっているのだが、しかし心情的に分かっているとは答えたくはない。
「本当に、ドカスだな」
 低く呟くようなXANXUSの声が間近でしたかと思った瞬間、スクアーロの唇を柔らかい熱が掠める。
「何、した」
「わかんねぇのか」
 この状況でそう来るとは思っていなかったXANXUSの行動に、スクアーロの言葉が途切れがちになった。返すXANXUSの声は先程までと全く変わらず、落ち着いた視線がスクアーロを見る。
「……素直になんのかなんねーのか、どっちかにしやがれぇ……」
 不意にXANXUSの顔をよぎった、してやったり、と言う表情に一本取られたとスクアーロが思ってしまったのは致し方ない事だろう。
作品名:20090628ペーパー小ネタ 作家名:あや