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いつまでも二人で

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いつまでも二人で



「ねぇ、ドイツはプロイセンが消えちゃうかもしれないとか思ったことないの?」
今日は冷戦の象徴とされていたベルリンの壁が崩壊してから、21年がたった日だ。
珍しく、いつも仕事で忙しいドイツが休みに、逆にプロイセンが仕事となっていた。
しかし、プロイセンも今日は早く帰ってくる予定である。
兄弟そろってゆっくりできる貴重な日でもあった。
そんな日のドイツとイタリアが一緒に昼食を楽しく食べ終わったところだったのだが…。
突然イタリアがしょんぼりとなったこと、そしてその言葉にドイツは驚きを隠せなかった。
何でいきなりそんな話をするんだと聞くと、今なんとなく当時のプロイセンが消えちゃうんじゃないかという話になっていたことを思い出してと言う。
ドイツとしては、あの時他の国がそんな話をしていたなんて知らなかったが、混ぜ返さず答える。
「…思ってもみなかったな」
そう、本気で今まで思っても、考えてもみなかったのだ。
プロイセンが消えてしまうことは。
「どうして?ドイツの他の兄ちゃんたちは消えちゃったんでしょ?」
自分でもよく分からんのだが…と前置きをしてからドイツは口を開いた。
「その…根拠もないのだが、兄貴だけは消えないように思えるんだ。
…いや、かと言って他の兄貴たちの時に消えると思っていたわけではないのだが…」
しだいにしどろもどろとなっていき、うー…あー…とうなっている。
自分の中でもまとめることができないようだった。
しばらく待つと、強い意志をもった答えを放った。
「たとえ、そんな状況になったとしても、俺は兄貴を消させない。」
絶対に。
自分の意思を確認するようにうなずき、そう言って静かにほほ笑んだ。
とても力強くやさしい笑顔だった。
イタリアも笑う。
ピッツァを後で送ろうかと思いながら。
今夜はきっと、二人でピッツァを食べてくれるだろう。
互いを信頼している仲の良い彼らは、のんびりとこの記念日を幸せに過ごすに違いない。
ドイツへのお祝いは後にして、俺も兄ちゃんと一緒にのんびりしようかな…。
そんなことを思いながら、イタリアは大きく背伸びをした。
そしてドイツはそんなイタリアを見ながら、今日はビールを多めに用意しておこうかと考えていた。
以前、ローマ帝国と名乗る不審者が突然やってきたが、もし彼が本当にローマ帝国なら…。
もしそうならば、自分の兄弟たちも来るかもしれない。
ビールが足りないと騒ぎ出すかもしれない。
そんなことがないように用意しておこう。
そして来なかったとしても、自分たちはまだ行けない場所にいる兄弟たちにこのビールを送ってやりたいと思った。
まぁ、届ける前に兄さんが飲んでしまうかもしれないな。
そう思って見上げる空はどこまでも澄んでいた。



Ende.

東西組な話なのにプーがいません\(^0^)/
独さんの思いが書きたかっただけなのです。
作品名:いつまでも二人で 作家名:沙木