Bloody love
ぴちゃん、と握った刃から血が滴った。
――そうか、オレは…
耀を殺したんだ。
人を殺したのに、オレの意識は妙にはっきりとしていた。
白いチャイナ服が紅く…紅く…染まっていく。
花車な体から急激に体温が消えていく。
「これで…よかったんだよな……?」
もう事切れた耀の『入レ物』に話しかける。
苦しみに歪みつつ必死に浮かべた最後の笑顔は…とても優しかった。
紅い斑点が飛んだ白い肌はそっと撫でる。
――なんて綺麗なんだろう
膝を着いて『入レ物』を抱き上げた。
あぁ…これで終わったんだ…。
本当にこれで…オレも…お前も…もう、苦しまなくて済むんだ…。
ダラリと細い腕が垂れ下がる。
――アーサー…我を……殺すよろし
――我たちは充分苦しんだあるよ……
――こんな…我を……愛してくれて…ありがと……
ぽたん…
涙がなぜか流れてくる。
自分で殺したのに?
耀がオレに殺されることを望んだのに?
目の前が涙と思い出で滲んできて…
オレは立ち上がれなくなった。
「耀…耀……!」
名前を呼べばまた、答えてくれるような気がして
琥珀色の瞳にもう光が宿らないと知っていても
オレはギュッと『入レ物』を抱きしめた。
――苦しんでも、オレは耀を愛したい
だから――――!
「すぐにいくよ、耀の近くへ。」
愛する者を斬り裂いた刃で―――――
作品名:Bloody love 作家名:狼華