二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ともだち

INDEX|1ページ/1ページ|

 
砂。砂。砂。砂。砂。砂。砂。砂。砂。砂。砂。砂。甘くもなく、辛くもなく、酸っぱくもなく、苦くもなく、無味で無為だ。強いていえば楽しむべきは触感で、舌の上で転がすとじゃりじゃりとした粒たちが俺の舌でワルツを踊る。ふと。俺の視界に、というかしっかりと抱えた青色のバケツ(に入った砂)に、影が落ちてきた。ツインテールにした少女型の影。視線をバケツからやや上にあげると、ひとのやわらかい部分のような髪の色をした少女が、立っていた。

「ね、ね、すなくん」

 きれいなピンク色をした小さな舌を舌足らずに操って、少女はそう言った。すなくん?すなくんとはいったい誰のことなのだろうかと俺は首を傾げる。すなくん。すなくん。砂くん?ああ俺のことか。

「あ、あの、あのね、あの」

 少女は顔を真っ赤にして、頬を上気させて、あのね、と必死で言葉を続けようとしている。俺はどうしようか、と考えて、とりあえず見守ることにした。

「う、あ、の、すな、すなくんて、い、つもここいる、け、けど」

「うん」と俺は相槌を打つ。さすがになにか言わないと少女の頬が赤くなりすぎて、少女の髪よりも赤くなってしまうかもしれないから。

「よっよ、よ、よよよよよよよ」

「よ?」

「よか、よかったら!」

 ともだちになってくれませんか、と少女は言った。うん、いいよと俺は何の気なしに答える。
 間。
 少女はきょんとした表情で固まっている。あれえっと、あれ、俺、選択間違えたか。と思ったが、それは杞憂に終わった。花が咲くように、花開くように、ピンク色の髪をした少女は笑った。

「あ、ありがとう!」


 砂しかなかった俺の世界に、砂しか注いでこなかった俺の世界に、一輪のにく色をした花が咲きました。
作品名:ともだち 作家名:雨井戸