二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

call me

INDEX|1ページ/1ページ|

 
朝、壊れかけたビルのオフィス。
男子トイレの洗面台、ダンテは髭をそる。
それほど濃いほうではないが、頬がざらつく感じはあまり好きになれない。
毎朝、剃刀をあてるわけではないが、気がついたらするようにしている。
ちなみに、泡なんかつかわず、水でぬらしてそのまま剃刀をあてる。
いまだかつて金属負けはしたことがないし、多少、手が滑ってもすぐに治る便利な体質をしている。
っと、ダンテは鏡の隅にしった相手を見つけ、にやりと笑った。
鏡に映ったその人物は、興味深そうにダンテを見ていた。
ダンテと目が合うと一瞬だけ気まずそうにしたが、すぐにダンテの隣に寄ってきた。

「熱い視線だな。“朝から欲しくなっちゃった♪”か?少年」
一部を思いっきり裏声を使って言った男に、玲治は嫌な顔をする。
「・・・あんたが、目をあけて寝言が言えるなんて知らなかったよ」
「照れるなよ」
「・・・・ってねぇって」
「で、なんなんだ?」
「あぁ、剃刀がさぁ」
「剃刀?」
「そ、俺の親父がシェーバーじゃなくって、絶対にそれで剃ってたの思い出して」
言うと、ダンテは鏡越しにまたニヤリと笑った。
「お前に“も”親父がいたのか」
その言葉に、ちらりと睨みをくれてやりながら、玲治もまた言い返す。
「ってことは、あんた“にも”親父がいたのか」
「・・・そう返すか」
「可愛げあるだろ?」
っと、玲治がにやりと片方の口元を引き上げると、うんざりといった顔をダンテがする。
どちらも鏡越しのことだ。
「よくいうぜ。だがな、俺には父親どころか母親もそして兄貴までいたんだぜ」
微妙に過去形の言葉に、玲治は気にしない。
どうせ誰も彼も死んでしまっているのだ。
「ワォ、そりゃすげぇな。で、皆、赤いのか?」
「玲治・・・お前の俺に対するイメージがよーくわかったぜ。傷ついたぜ?俺は。
 俺のハートはガラスなみに繊細なんだ。もっと優しくしろよ」
「ダンテ、そのセリフはガラスに失礼だ。あんたのはガラスはガラスでも、強化ガラスのほうだろう」
「そっちこそ、失礼だな。厚さ1メートルで、耐熱ガラスもかねてるぜ」
そこで二人は互いに苦笑し、先に玲治が笑いを納めた。
「しっかしあんたに弟・・・じゃなくて、兄貴?がいるなんてなぁ」
「意外か?」
尋ねると、玲治は肩をすくめて首を横に振る。
「そうでもない。あんたの傍若無人っぷりは、一人っ子か、そうじゃなきゃ末っ子のもんだよ」
「・・・・ふむ」
「言い返さないってことは、自覚ありか」
にやりと笑うと、ダンテは片方の眉を器用に上げて、睨む。
「うるせぇ。お前こそどうなんだ?少年。まさか、妹や弟がゴロゴロ・・・・」
「なんてわけないよ。俺は一人っ子だし。」
「ほぉ・・・のわりには、仲魔たちの面倒をよくみているな」
少し意外に感じて、ダンテがいうと、玲治は微妙な顔をしながら言う。
「まぁ・・・スパルタ教育してくれた姉がわりがいたからね」
嫌そうで、それでいて、どこか懐かしむような顔をする玲治に、ダンテはあえて話題をかえる。
「っで、親父さんが恋しくなったのか?」
「んなわけじゃない。ただ思い出しただけだよ」
少し意地になっていったような玲治に、またダンテはにやりと笑う。
「へぇ・・・安心したぜ」
「何が?」
「お前にダディなんて呼ばれたら鳥肌がたつからな」
「はっ、あんたがダディ?」
呆れきった声にダンテが苦笑する。
「ははは、そうだよな。どうせならスィートってよんでほしいな。マイ・ラブ。」
パチリと片目を閉じていう、ダンテに、玲治はブルリと震えた。
「スィート・・・・?マイ・ラブ・・・?!」
「ダーリンがいいか?それともハニー?」
にやにや笑いをするダンテを玲治が睨む。
「バディ(相棒)、いい加減にしないと、ボディ(死体)にかえてやるぜ?」
玲治が睨んだままに言うと、ダンテは一瞬きょとんとした後、どはでなバカ笑いを始めた。
それほど面白いことをいったつもりはないのだが・・・玲治は肩をすくめると、ご機嫌なダンテのそばをあとにした。
作品名:call me 作家名:あみれもん