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ダチュラ

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汗みずくになってガタガタと震え、低くうなり声を上げる玲治を見ていい気味だと笑った。
マガタマの呪い。
それに侵されたヤツは、苦しそうに地面にはいずりながら・・・しかし、目には輝くばかりの生気がみなぎっている。

「なんとも、そそるざまじゃないか?」

口角を引き上げて言えば、獣のような唸り声が応えた。
水を浴びたように濡れた体を四足でわずかに浮かせ、鼻の頭にしわを寄せて睨みつける様は発情期の猫を思わせる。
もちろん、それほど可愛らしいものじゃないが。
「ダンテ・・・」
俺を呼ぶ声がいつものものより低くつぶれて聞こえる。
「あぁ?なんだ?」
やつの前で腰をかがめて問えば、彼は一瞬考えるように眉をひそめ、「苦しい」と屈辱感をにじませて言う。
「ハッ、そりゃ結構なことだね」
此処でくたばるのならば、所詮その程度の悪魔だったということだ。
玲治は俺が優しくする気も、助けてやる気もないのだと悟ると俺にはわからない言葉で何事かを罵った。
何を言ったのかと特に興味がないまでも聞いてやると、放送禁止用語真っ青な台詞を吐いた。
てめぇのxxxなケツのxxxにxxxを突っ込んで、xxxしてやる。
って感じの、本国のチンピラでもまず言わないような下品な言葉。(xxx部分は各自で考えてくれ、答えはその想像よりももう少し下種なところだろう)
まさかそんな切り返しが来るとは思ってもいなかった俺は意表をつかれた。
そして、発作的に笑いがこみ上げ苦しんでいる玲治を見ながら大笑いしてやった。
玲治はその俺を憎憎しげに見つめ、「クソッ」と呟いて額を地面に擦り付けた。

いつの間にか眠っていたようだ。
カグツチが四六時中点滅を繰り返しているボルテスクでは時間の経過はわかりようがないが、それでも1時間やそこらは眠っていたはず。
ガシガシと皮の手袋をはめた手で後頭部をかきながら、顎が外れるかと思うほどに大きく口を開いてあくびをする。そうしておいて、何かを忘れているような感覚に目を細め・・・そして思い出した。
玲治だ。
自分でも自覚のある意地の悪い笑みが口元に浮かび、それを隠すように顎を撫で彼のほうへと首をめぐらせた。
そこには、自らの汗で水溜りに肢体を伸ばしている玲治。
俺が近づくのにも全く反応を示さない。
死んでいるのか?っと、靴の先で頭を軽くつつくと「うっ」と小さく呻いて体を縮めた。
どうやらまだ生きているらしい。
「ほんと、いい眺めだな」
言って、もう一度つま先で頭を蹴ると、はっとばかりに彼は大きく目をあけ、それから一瞬にして跳ね置き1メートルほど向こうに四足で着地し俺をにらみつけた。
まるで手負いの山猫。
鼻の頭に皺を寄せ、唇をめくり上げて牙を剥く。
好戦的な態度ににやにやと笑ってやると、彼は本気でかみ殺しそうな目で俺を見、次の瞬間ガクンと腕を折って半身を地に沈めた。
マガタマの呪いのせいで随分と参っているらしい。
糸の切れた操り人形のようにへたりこんだ玲治はそれでも震える腕で自分の体を支えようと無駄な努力をする。
「辛そうだな」
「・・・・」
「今なら“どうか、助けてください”っていえば、助けてやらないこともないぜ?」
「・・・・」
「ん?どうする?また“苦しい”って可愛らしい顔で呻いて見るか?」
「・・・るせぇ!」
その態度が俺をますます喜ばせるってことに気付いているのかいないのか・・・。
「ハッ、全然力の入ってない体でよくいうぜ。そのまんまじゃのたれ死ぬだけだぜ?」
「っるせぇっつってんだよ!」
「元気があるうちに言っておいたほうがいいんじゃねぇか?
 “そこの、ハンサムなお兄さん、どうぞ僕を助けてください”ってな」
「このxxx!黙りやがれ!」
本当に、楽しませてくれる。
「おいおい、おれがxxxだというのか?見たこともねぇくせに、何なら・・・」
「黙れ、このセクハラ野郎!」
お前が言い出したことだといってやっても・・・まぁ聞かないだろう。
俺は肩をすくめ、へたりこんでいる玲治の前にしゃがみこむ。
「れーいじ、そろそろ素直になったらどうだ?」
「・・・・にが・・・だよ」
「意地を張るのをやめろよ。お前もうガタガタじゃねぇか。このままだと・・・」
「くたばるって?」
「そうだよ」
「それが、あんたの望みだろう?ダンテ」
顔を僅かに横に向けて睨み上げる玲治に、わけのわからない怒りを覚えた。
のたれ死ぬなら、玲治もそれまでの悪魔だと思っていた・・・。
そのことを言い当てられたから?
いや、違う。
それを受けれているとでもいうような玲治に怒りを覚えたのだ。
「なんだよ」
黙り込んだ俺に眉を潜めて玲治。
受け入れている・・・?
いや、違う、この目は違う。
迎えに来た死神を脅してでも、生き残るだろう熾烈な光を持った目。
金色の目、縦に入った瞳孔、ギラギラとした好戦的な光。
ゾクリとしたものが背中を走り、腰にジンとした痺れを生じさせた。
それは甘い情欲に似て、俺は唇を舐める。
そそる男だ。本当に。
「何考えていやがる・・・?」
眉を潜める玲治に、別にっと肩をすくめながら彼に手を伸ばした。
彼は、逃げようと一瞬体を浮かせかけたが、力が入らないことに気付いたのか僅かに体を動かしただけだった。
俺は玲治の黒くしっとりとした髪をゆっくりと撫で、
「忘れてないか?」
と彼に聞いた。
「何がだよ」
「お前が俺の雇用主で、俺が雇われハンターだってことをだよ」
だから、今回は無料で助けてやると言えば、彼は怪しむ目を隠しもせずに俺を見上げて、
「心にもねぇことを言うなよ」
舌打ちと共に言う。
俺はそれを否定も肯定もせず、ただ肩をすくめると彼の体の下に手を入れ、軽い体を抱え上げた。
作品名:ダチュラ 作家名:あみれもん