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出口

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「あーもぉ、参ったな。」
俺は情けない声を上げてその場にゴロンと横になった。
「あーあ・・・ばっかみてぇ・・・確かめなきゃよかった。」
ゴロゴロと転がって呻いていると、ガッと誰かに(もしくは何かに)頭を蹴られた。
「ってぇ!」
顔を上げると・・・そこには超格安で雇った悪魔狩りの姿。
俺を見下ろして口角を引き上げていた。
「何だよ」
ついついけんか腰の言葉になる。
すると彼はムカツクニヤニヤ笑いを浮かべてその場にしゃがみこんだ。
で、俺の額を指で軽く弾く。
「ってっ」
「さっきまでうろちょろしてたかと思えば今度は寝転がって悶えてる。一体何なんだ?」
「別に悶えてなんてねーし」
「悶えてただろう」
「ねーって」
「いいから、何やってたんだよ」
俺の眉間に指を立ててグリグリと押さえつけるダンテ。それを睨みつけ、狙い済まして噛み付きにいったのだが・・・後ちょっとというところで逃がした。カツンと歯がかみ合う音。チッ
「乱暴だな」
「うるせぇ」
「で、何だって?」
まだ諦めてなかったのかと睨むと、フンッと鼻を鳴らされてしまった。
俺はごまかすのを諦めて大きくため息をつき、それから勢いをつけて起き上がった。
狙ってのことじゃなかったがダンテに頭突きを食らわせそうになった。もちろんそれはダンテが後ろにヒョイと体をそらしたことによりヒットすることはなかったのだが、そのことにまた舌打ちをすると、二度目のデコピン。
どっちが乱暴だって言うんだよ。雇い主にはもう少し優しくしろっていうの。
「で?」
「あー・・・だからさ、ボルテスクって電気も水も通ってんじゃん?」
「あぁ」
「でも、別に発電所とかに悪魔が詰めてるわけないじゃん。思念体は口ばっかで体を動かすようなやつらじゃないし、マネカタは復興にいそしんでて文明とかにはあんま感心なさそうだしさ。」
「それで?」
「で、どーなってんのかな~と思って、興味本位で水道の線を辿ってみたわけ。そしたら、もぉなんていうか・・・」
「何だ?」

そう。俺は辿った。
きちんと水が出るのを確認した水道。その管を辿って、どうなってるもんかと確かめてみた。地下にうまってしまったらその辺壊してみて水道管を確かめる予定だった。
けれど水道管が埋められているはずの洗面台を壊してすぐに、そんなことする必要がないってことに気付かされた。
何故なら、それは途中でぷっつりと切れていたから。
それを見た時、俺って多分めっちゃ間抜けな顔してたと思う。
だって・・・水が出るのを確認していたにも関わらず、その水が出てくるはずの管を辿ったら途中で切れているって・・・どういうこと?
俺はそのあと他の部屋にはいって同じ事を何度か繰り返したけど結果は同じ。
だったら電気はどうだと思ったら・・これは物を壊す以前にプラグが刺さっていなかったりして・・・。

「なんかもー・・・ね」
かっくんと頭を垂れると、「何で落ち込むんだ?」と心底不思議そうに聞かれた。
それにグッと詰まってしまうのは、俺も何故こんなに落ち込むのか良く分かっていないからだ。
ただ・・・何となくものすごーーく落ち込んでしまったのだ。
「なんで・・だろうな。」
とりあえず、そう返事をすると「何だそれは」と笑われた。
「いや・・・なんだろう。この世界が常識から外れてるのは知ってたけど、なんかそれをまざまざと見せられたっていうか・・」
考えながらの言葉にダンテは盛大に眉をしかめる。
「球の内側にへばりついたような世界を毎日見てて、今更そんなことをいうのか?」
「・・・それを言われればそうなんだけど・・・」
そこに切なさを感じちゃった繊細な俺。
大雑把を絵にかいたようなダンテには分かるまい。あー、だの、うーだの唸っていると、ダンテの手が俺の頭を掴み脳を揺さぶるような勢いで撫でた。
ほんと、頭がグラングランゆれるような撫で方。
すっげー乱暴。
しばらくは黙ってそれを受けていたが、一向にやめないダンテに「いい加減にしろ!」と怒鳴って手を払った。
「なんだよ!」
「いや。別に」
また伸びてきた手。叩いて追っ払って、また伸びてきて・・・。
何度か繰り返して、俺のほうが先に根を上げた。
「あーもー・・・俺、犬ころじゃねーんだけど・・?」
「いいじゃねーか」
ダンテの手はでかい。俺の頭を鷲づかみに出来るくらいにでかい。で、ダンテは俺の頭を撫でるのが好きらしい。・・・俺も、乱暴にさえされなきゃ別にかまやしないんだけどさ。頭グラングランさせられるのはちょっと嫌だ。
船酔い・・・撫でられ酔いする。
しばらく黙ってたが、そろそろ限界。
やめてくれと口を開こうとしたら、
「大丈夫だ」
何故だか凄く優しげな目が俺を見ていた。
「は・・・?」
「だから、大丈夫だよ。」
「何が」
「出口、探してたんだろう?」
「で・・ぐち?」
頭の浮かんだのはEXITとかかれた非常口のランプ。
首を傾げると、彼は「気付いてなかったのか」と呟き肩をすくめた。
「何?意味がわかんねぇ。出口ってなんだよ」
「無意識に探してたんだろう?・・・っていっても気付いちゃいないみたいだが」
バツが悪そうに吐き出す。
「何言ってんだ・・?」
俺はダンテの言葉が本当に分からなくて首をひねった。
「・・・・あーあー・・・もぉいいよオーケー」
「何がオーケーなんだよ」
「あーもぅいい。俺が照れちまったじゃねぇか」
ガリガリと頭を掻くダンテ。「クソッ」と悪態をつく。「キマッたと思ったのに・・・」というセリフは何に対してなのか。じっと見ていると、睨まれてまた乱暴に頭を撫でられた。
グラングラン揺れる。首が痛い。首がもげそう。
「いーかげんにしろよ、ダンテ・・・」
「いいだろ?お前の頭を撫でるのは気に入ってるんだ」
・・・・まぁ、俺も、あんたに撫でられるのは気に入ってるんだけどね。
俺は撫でられ酔いを少しでも収めるために目を閉じた。
作品名:出口 作家名:あみれもん