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マーキング

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いつも食堂で“偶然”会うアイツと、今日は廊下で会った。
別にそんなことはどうでもいい。
特に迷惑をしているわけでも、避けているわけでも、会うようにしむけているわけでもない。
偶然なのだ。
ほぼ同時に、互いが互いを確認し、よぉっと手を挙げ、二人並んで食堂へ向って歩く。
まるで示し合わせたように。
「午後はあと何コマや?」
相手が聞き、俺が応える。
「1コマだ」
「あ、せやったら、俺と一緒や」
っと、嬉しそうに微笑む。
「本借りたいんやけど、君ん家・・・・・」
言いかけたアリスの言葉がふいに途切れ、何事かとアリスを見ると、アリスはこちらの顔を凝視している。
といっても、目があうわけではなく・・・視線を辿ると・・・首・・・?
手を当てると、少し伸びた髪に手が触れる。
それを見て、アリスがふんわりと笑う。
男の癖にこのような笑い方が出来るヤツを、彼以外にしらない。
そして
「やっぱやめとくわ」
「は・・・?」
「もっかい図書館で探してみる。で、無かったら君に頼むわ」
「・・・?なんでだ?ウチに借りにくればいいだろう?」
急な話の展開に面食らいながらそういうと、アリスは少しだけ口ごもり、上目遣いに俺を見て困ったように微笑んだ。
なんだ・・・?その表情は。
柄にもなく、内心慌てながらアリスの言葉を待つ。
「せやって・・・君」
「なんだ・・・?」
「君んとこ、マーキングされとる」
「マーキング・・・・?」
「うん。チューのマーク」
そういって、アリスはついと左手を伸ばすと、俺の首筋に指を這わせた。
途端、ぞくっと寒気ににたものが身体を駆け抜けた。
「――――!!!!!」
声にならない悲鳴を上げた俺を見て、アリスは一瞬ぽかんとし、ついで笑い出した。
心臓がばくばくと騒がしくなり、顔に血液が集まる。
「あははははは、君、以外にウブやな。見せ付けてるんかと思ったわ!」
「ちがっ・・・!」
慌てて、否定しようとするが、それをアリスは絶妙のタイミングで阻む。
「ええって、ええって!君がそんなに真っ赤になるとこはじめてみたわええもん見せてもらったわぁ」
そういって上機嫌に笑うアリスに。、口を尖らせた俺。
アリスはその笑顔のまま、食堂へと入っていく。
俺はそれを見ながら、自分でもこの反応はなんだと訝しむ。
彼が触った途端に、幽霊にでも触られたかのようにぞくっとしたものが走って・・・
幽霊なら体温が下がるところだろうが、反対に一気に体温が上昇して・・・
一体どういうことだ。
熱でもあるのか・・・?
大体、首の赤いマークなんてものは、全く心当たりが無く、あるとすれば、猫につけられた傷でまったくやましいものでもなかったのに。
何故、あそこまで狼狽しなくてはいけなかったのか、さっぱりわからない。
今更、あれは猫の・・・なんていったところで“またまた・・・”なんてからかわれるのがオチ。
そんなことを言って、あいつを面白がらせることはお断りだ。
だからといって・・・
お前の指が首筋に触れたからなんて・・・冗談にしても寒すぎる。
作品名:マーキング 作家名:あみれもん