MARIA
自分が他の人間とは違う存在だということは、昔からなんとなく気付いていたし、騎士団の頃くらいに誰かに聞いた覚えもある。
そういえば、その時に聞いたっけな。俺みたいな存在が他にもいるが、俺が顔を合わせることは決してないだろうと。
いつしか、例の夢の少女がその「自分のような存在」だとだと思うようになった。それが正しいか間違っているかなど、誰にもわからない。
schwester…彼女はきっとそのような存在だろうと思う。一度、meine schwesterと言ってみると、微笑んでmein bruderと返してくれた。
19世紀に生まれた、統一民族国家の年下の“弟”とは違う、ちょうど自分の双子の姉妹のような彼女。
俺が傷ついたり、悩んだりしているとき、喜びに浸っていたり、得意になっているとき――いつも夢の中で、彼女はその感情を分かち合ってくれる。一緒に泣いたり、笑ったり、怒ったりしてくれる。
マリア、夢の中でしか会えないが、いつまでも俺の側にいてくれ。