二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
神谷 夏流
神谷 夏流
novelistID. 17932
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

九秋夜行

INDEX|1ページ/1ページ|

 
秋も深まり、ここの所の冷え込み続きに綺麗に色づいていた楓や蔦もほとんどの葉を地面に落としていた。枝に残ったものも、ときどき強めに吹き込む乾いた冷たい風に攫われて今にも飛んでしまいそうだ。


くしゅん。
「うぅ、寒い」
「帝人君は寒がりだよね」
正解。
自分でもその自覚のある帝人は、いつもより厚手の物を着込んいた。若干着膨れ感があるが、寒さ対策には代えられない。それほど寒さが苦手だ。(だからといって蒸し暑い夏が好きというわけでもない)今も手は懐に隠して防御。首も竦めているため猫背になってしまっている。
そんな帝人とは対照に、隣を歩く臨也はいつもの黒い着流し一つと素足に草履で飄々としている。首筋から襟元の肌なんて見てるだけでも寒そうだ。

「臨也さんは寒くないんですか?って言うか勝手に出てこないでくださいってば」
「妖には暑いとか寒いとか関係ありませ~ん」
「…後半のは無視ですか」
「聞えませ~ん」
わざとらしく耳をふさいで聞こえないふりをする臨也に思わずため息がでてしまう。
困ったことにこの妖は強い。陰陽術を使う自分なんかよりも遥かに強い。
それゆえ、いくら自分が主でも ――傍から見れば絶対にそう見えないのは知ってる!―― 許可なしに管から抜け出してきたり、許可なしにフラフラと街を歩いては面白そうなことに首を突っ込んでみたり、許可なしに人を呪ってみたり…
まぁ、つまりはやりたい放題だ。
今日だって勝手に出てきて出仕する帝人のお供に隣を歩いている。

くしゅん、くしゅん。
「ねぇ、今日は休んだ方がいいんじゃない?」
帝人がぐすりと寒さで赤くなりつつある鼻をならす。
「そうだ今日は屋敷にいようよ!二人でイチャイチャしてようよ~」
「大丈夫です。お勤めも休みませんしイチャイチャもしません」
「真面目だなぁ帝人君は」
さっきとは逆に臨也がため息をついた。

くしゅん、くしゅん、くしゅん
「……。」

ばふん
「うわ!急にどうしたんですか臨也さん」
「はいはいちょっとだけ俯いて」

「こうですか?」
「うん、いい感じ」
ふわ
「あ…」
「これならちょっとは暖かいでしょ?」
「ありがとうございます!すっごく暖かいです!」








「うお!どうしたんだよ帝人ぉ!すっげ~ゴージャスな襟巻きなんかつけちゃって!
なんだよぉ?あれか?どっかの姫の贈り物かぁ?はっ!!もしかして杏里じゃないよな?いかんいかん!抜け駆けはいかんぞ帝人!お父さんは悲しい!悲し~ぞ~!!」
「はいはい、遅れるから急ぐよ正臣」
途中で合流した朝からハイテンションの幼馴染に、狐形の臨也が煩そうに自分のフサフサの尻尾に顔を埋めた。
帝人の首を中心に丸まっている臨也は、動かなければかなりお高そうな毛皮に見える。
黒銀の毛皮なんて貴族連中だって持ってないだろう。
そのうえ、臨也の体温もあってかなり暖かい。

ぬくぬくの温度と、触り心地のいい臨也の被毛。
(あ~クセになりそうだな…)
明日もお願いしよう。


――――――――――――――――――――――-――――――――――――

カイロとボディーガードで一石二鳥!
「――ボディーガードはいいけどさぁ…カイロってどう?」
でも、臨也さんはあったかくてキモチイイですよ?
「!!帝人君っっっっ!!!」
…なんで照れて真っ赤になってるんですか?
「無自覚!!俺の純情な心が弄ばれた!!」
はいはい、早く管に戻ってください。

作品名:九秋夜行 作家名:神谷 夏流