悲恋奏 「希望」 ~アルフレッド視点~
反抗期ってやつなのかな?
大好きなのに目の前にすると「嫌い」しか言えないよ。
君と出逢ったときから君とさよならするまで
君はオレの世界だった。
色んなこと教えてもらったよね。
国としての仕事とか、それこそ日常のこととか。
……君の料理ホントはすっごくマズかったけど、我慢して食べてたんだぞ!!
あんな顔してオレのこと見るなんて反則だよ。
「おいしいよっ!」しか言えなくなるじゃないか。
「オレはアーサーが大好きなんだぞっ!!」
今でもそれは事実だ。
気持ちは何一つ変わってない。
初めて、「好き」って言った相手は君。
…なんであのとき苦笑いしたのか…今ならわかる気がするね。
感情表現がストレートって言われるオレもある意味、君と同じなのかも…。
いや、違う。
素直になれないのは一緒だけど
君はオレと違って、オレのこと嫌いだし。
「独立するよ」
そう言ってオレたちの「夢」は終わった。
ずっと一緒、って信じてた「永遠」も終わった。
終わらせたのは紛れもなくこのオレで…
でも、一つも後悔してないよ。
オレはただ君の「弟」じゃなくなっただけ。
やってきたのは「希望」に満ちた日々。
「国」として成長して
そして…「彼」と出逢った。
彼には兄がいた。
その兄は君が壊した「国」だった。
立ち上がれないくらいボロボロにして
何もかも奪って…。
好きだったんでしょ? 彼の兄のこと。
下手くそだよ…ホント愛し方がさ。
そんな過ちをオレは繰り返さない。
できるだけ優しく…紳士的に…「彼」を世界へ連れ出した。
世界に追いつこうとする彼にとてつもなく
オレは惹かれた。
君もまた彼に惹かれた。
でも…オレたちは別れてしまった。
会えるならもう一度会いたいと願う。
わかり合いたい、でも戦わなきゃ。
君にとったら…「永遠」の相棒。
彼の兄にとったら…愛しい弟。
そして、オレにとったら…大切な親友。
ねぇ、またあの日みたいに笑い合えるかな?
作品名:悲恋奏 「希望」 ~アルフレッド視点~ 作家名:狼華