つめあわせ
パロディ普通に混じってます
帝人くんは総合して受け
※必死な平和島静雄
どうか、どうか、どうか。誰か、誰か、誰か。
お願いです。頼みます。この方生まれてきて神さまなんぞ信じちゃあいない俺ですが、どうかもしも神さまなんてそんな存在がいるんだったら。頭だって何だって下げます。だから、この小さな恋人を、怪物だなんて呼ばれている俺を受け入れてくれたまだ若いこいつを、俺から離れないようにしてやってください。俺と同じくらい頑丈にしてやってください。ずっと傍にいさせてください。
孤独ってぇのはとても冷たいもんだって俺は知ってます。
俺はもうあの寒さを味わいたくありません。
「帝人、」
壊さないよう、必死なのです。
零れないよう、必死なのです。
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※竜ヶ峰帝人は平和島静雄と同い年
さてどうしたものやら。
目の前には粉々にされたグラス、カップ、ぼろぼろの机、椅子、押し入れなんかは半壊している。目の前には正座をする恋人兼同級生。俯いたままで申し訳なさそうに無言を貫く姿に、ため息をつくと、びくりと彼は肩を震わせた。自分よりも大きい青年が自分の行動に全力で反応することに何だか変な感情を抱きつつも、とりあえず目線を合わせるようにしゃがみこんだ。こちらの反応を窺って、怯えている目と僕の目が合う。怯えているくせして、目を逸らそうとはしない。本来、怯えるのは力が弱いこちらのはずなのに。この同級生は自分に怒られるのを非常に恐れていた。
次やったら三日は口きかないよ。
そう言ったら、みかどすまん、と頼りなさげに抱きついてくるものだから、ついつい甘やかしてしまう。僕はきっと一生この人に勝てないんじゃ無かろうか。
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※甘やかしまくりの竜ヶ峰帝人
腰にへばりつく静雄さんは落ち込んでいる。なんでも公共破壊物の数がついに大台になったとかで、上司の田中トムさんからある意味めでてぇべ?と何気なしに言われた言葉に繊細な静雄さんは傷ついたらしい。体だけが頑丈にできて、心はナイーブになりがちの静雄さんはこうやってよく僕に甘えてくる。それはいいのだけど、一つ問題なのは家だろうが外だろうが構わずに甘えてくるので、少し困りものだった。よしよし、と染めた所為か若干きしんでいる髪を梳けば、応えるようにぐりぐりと腹に頭を押される。言葉もないが、それだけでいい、と望む静雄さんに僕は外だろうが家だろうが、結局甘やかしてしまっていた。それもまた、少し困りものの事実。もうどうにもならなさそうだなあ・・と自分の悪い癖を直す気もさらさらないのもまた事実であった。
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※平和島静雄は考えた
自分の恋人の竜ヶ峰帝人は何とも弱っちい。体は細いし、色白だし、筋力も走力もなければ体力すらない。はっきり言ってダメダメである。そのお陰で、自分との関係で狙われても自分一人で解決することが難しい。傍に紀田だか織田だか、友人だというそいつがいればまあ一人よりかは危なくはない。だが、それは何を隠そう、自分が許せなかった。嫉妬してしまうからだ。心が狭いのは分かっている。だけど、どんなに我慢しようとしてもどうしようもならなかったんだから、仕方ない。一回我慢したけれど、ものの数秒しかもたなかった。だからどうしよう、と考えた時思ったのは。
「お前が俺の傍にずっといたらいいんじゃねえか?つーわけで、結婚してくれ」
「静雄さん、色々間違ってます」
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※折原臨也の愚痴
「何だってシズちゃんなんかを選んじゃったかなあ。分からない。理解できない。理解しようとも思わないね。俺が一番驚いているのは君がシズちゃんを選んだこともそうだけど、あのシズちゃんが、怪物が人間らしく恋なんてものをして人間らしい判断で君を選んだことだよ。腹立たしいったらありゃしないつうか本当シズちゃんくたばってくれないかな。もちろんシズちゃんが亡くなった後は俺がきっちり君を守るから大丈夫だよ。素敵で無敵な情報屋さんに任せなっさーい。今からでも遅くないよ、帝人くんほんと。俺にしとこう。ね?えダメなの?そんなにシズちゃんがいいの?ありえないなあ。君さ、そんなこと言ってるけど、シズちゃんは絶対物を大事にしようとして壊すタイプだよ。分かってる?そんなんじゃ君まで壊されちゃうよ。軽はずみで、もしかしたら俺とこうしてるから、嫉妬心でついやっちゃいましたーなんて洒落じゃないんだよ。君が好きな非日常の類はむしろ見てるだけで充分じゃない?あ、そう。そうじゃないの。ふうん。まあいいけど、じゃないよ。よくないよ。俺はとにかく嫌なんだよね。むかつくむかつくむかつくあーもうほんとイラつくなあシズちゃんお願いこの世からいなくなってよ、ねえ!」
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※謝らせてもらえない竜ヶ峰帝人
ごめんなさい、と謝るはずだった僕の小さな言葉は大きな真っ直ぐに愛を向けてくれるものに食べられてしまった。僕の涙は流れて、それを気にせずただひたすら貪り続ける。呼吸もままならなくなってくると、やっと酸素をくれる。しゃくりあげるその喉で、もう一度謝罪をしようと口を開いても、また食べられて繰り返し。いつもそうだ。彼は僕が謝ることをよしとしない。僕は悪くないのだ、と精一杯の行動で僕を慰める。けれど僕はそれが嬉しくて悲しくて、何度も口を開くのだ。あなたを好きになってしまってごめんなさい、と。今更離れられなくて卑怯でごめんなさい、と。それを言いたいのに彼は何を勘違いしてか、僕が言葉を紡ぐことをただただ、塞ぐ。ごめんなさい。静雄さん。あなたをこんなに大好きで、愛してしまって、ごめんなさい。僕の傍にいてくれて、ありがとう。だなんて、言えるのはいつなんだろう。