ダブルパロ詰め合わせ
『セキレイ』第108話より/波帝?
佐橋ユカリ =帝人
氷峨泉 =波江
柿崎 =矢霧製薬の研究員の誰か
椎菜の位置に誰がくるのかはご想像にお任せします。
波江絡みの結婚ネタは政略結婚が似合う気がする、気がするだけかも知れないけれど。
元ネタは性別が逆なので性転換しても良かったかも。
ジリリリリリリリリリリリ、とけたたましく鳴り響く警報音。火元へ急げばやはり、彼の部屋だった。バン、と音を立てて部屋の扉を開ければ炎の中、彼は笑っている。
「ダラーズの……魔王……!」
呟く声に彼は振り返る。
「……矢霧さんは? 仮にも結婚を持ちかけた相手が火に巻かれてるのに駆けつけもしないんですか?」
「い……、いや……主任は大事な会議中で……」
「へぇ、僕の価値ってその程度なんですね」
彼はニコリ、と笑んだまま切り捨てた。
「……自分で火を出しましたね? これは犯罪ですよ」
苦い顔をして脅しても彼はどこまでも堂々としていて。
「非常識はお互い様でしょう。こんな一般人、しかも学生を監禁しておいてよく言えたものですよ」
言いながら持っていた椅子で窓を叩き割った。強い風が部屋へ流れ込んでくる。
「!!」
その風にほんの一瞬、視界を覆ったその隙に彼は割れた窓ガラスの際に立つ。
「それじゃあ僕は帰りますので」
その表情に迷いなど欠片も見られない。
「や、やめなさい!! ここは50階ですよ!!」
制止が届く筈もなく、
「あの人に伝えておいて下さい」
傾ぐ身体は窓の外へ。
「実は僕、異常……じゃなかった、非日常が好きなんです。変人なんです。矢霧との縁故は魅力的ですがただの人間に興味はありません。ということでさよなら」
ひらり、と手を振って彼は落ちていった。
作品名:ダブルパロ詰め合わせ 作家名:NiLi