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夜のベランダ

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ベッドの上で、刹那は胎児のように丸くなっていた。できるだけ手足を胴体にくっつけて、冷えた手足を暖める。
今は冬だ。それに今夜は特に冷え込んでいる。急激に寒気が入り込んできたのだと、天気予報士が画面の向こうで言っていた。暫くこの部屋には戻っていなかったので、刹那は冬用の布団の準備をしていなかった。頗る寒い。
暖房を付ければ解消される問題であると、普通は考えるだろう。勿論実行している。だが、この部屋には刹那の他にもう一人、その努力を無に帰す青年が居た。
青年はベランダの窓を全開にして、缶ビール片手に夜景を眺めていた。窓を閉めてくれればいいのに、それじゃあ話ができないだろうと言って聞かなかった。
「雪、降らないかなあ」
青年は言った。こんなに寒いのに雪まで降ってたまるか、と刹那は思った。
「なあ刹那、俺の故郷では、雪が降るんだ。お前、雪見たことあるか?」
砂漠育ちの自分が雪を見たことなどある筈も無い。出生地の話は守秘義務に違反するので、刹那は何も言わなかった。
「刹那くーん。聞いてるか?返事くらいしろって」
「うるさい、ねむい、さむい」
「おま…可愛くねえなあ…」
「ろっくおん、さむい、ねむい、ねむれない、ばかやろう、ろっくおん、さむい」
刹那の声は半分とろけていた。相当眠いらしい。ロックオンはもう少し夜風に当たっていたかったのだが、このままでは刹那に風邪を引かせてしまいかねない。そろそろ窓を閉めてやるべきかと振り向いたら、目の前にはシーツのお化けが居た。
「え?せつ…」
ぼふり、とお化けはロックオンの胸に倒れこんできた。
「つめたい…」
お化けはぎゅうぎゅうとロックオンにしがみつく。全体重を掛けてくるので重い。
「刹那、ごめん、部屋に戻ろう。風邪引いちまう」
ロックオンがそう言って頭を撫でてやると、イヤイヤと首を振り、がぶりと鎖骨に噛み付いてきた。
「いってえええ!!!」
本気で噛みやがったこのガキ!ジャケット越しでこの痛みは相当なものだ。眠いんじゃないのかこいつ。
「あんたがわるい…。おれはもううごくきはない…。はやくあっためろ…」
すりすりと頭を胸にくっつけてくる刹那など、そうそう拝めない。それを可愛いと思ってしまったらもう噛み付かれたことを怒る気も失せてしまって、ロックオンは刹那を抱きしめ返した。頭に軽くキスをしてやると、コトリと刹那は眠りに落ちた。

「おやすみ、刹那」
作品名:夜のベランダ 作家名:arisa