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1.全ての始まり  前編

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7年前のあの夏の日、登った丘で交わされた誓い


『僕は、ルルーシュの騎士になるっ!絶対に守ってみせるよ。』

『本当に?僕にとっての騎士はスザクだけだ。』

他愛無い誓い・・・だが、一番大事な誓いと思い出。

















「チェックメイト」

にこやかな笑みを口許に浮かべながら、男にしては少し高めの声音で向かいの男にトドメを刺す。

向かいの男は、貴族らしく煌びやかな値段だけは張る服装を着て、打開策がないか唸りながら探し

ている様子がありありと判る。

その姿は滑稽でしかなく、笑顔の下で笑いを堪えながらタイムアップの合図を待って席を立ち。

「若者でなくとも、後悔する時間はたっぷりありますよ。」

穏やかな笑みを浮かべながらも、お返しとばかりに男に向けられた言葉は揶揄でしかなく。

相手が黙っていることをいいことに、代打を終わらせリヴァルのバイクに乗り込んで、

「授業に遅れずに安全運転で間に合うな?」

懐かしい夢を見た所為か、退屈なチェスの試合だった所為か、睡魔が襲ってくれば口許を軽く覆って

欠伸を零し。

「もっちろん。 新記録も達成したし、ばっちり間に合うよ。」

上機嫌に笑顔で返ってくる応えに、コクリと頷いて。

心地よい向かってくる風に、猫のように瞳を細めながら、リヴァルから何故キングから動かしたのか

という問い掛けに

「・・・王様から動かないと部下がついてこないだろ?」

内心では、絶対に動かない王様(クソジジイ)を思って嘲笑を零しつつも、口許に笑みを浮かべて答え

その後の話しの内容で、社長にでもなるつもりかとの問いには思わず苦笑を漏らした。

その時に、後続の車両に追い立てられつつも避ければ、相手側が道を逸れて事故を起すのを他人事の

様に見遣り。

一応、リヴァルの無事を確認した後、バイクから降りれば、事故を起した車両を遠目に見て。

乗っている者が大丈夫かとの心配を他所に、野次馬どもの言葉が聞こえれば、嘘で塗り固められた己

でも偽善と解っていたが、リヴァルが止めるのも無視して車両へと駆け寄って。

「おいっ! 大丈夫かっ?」

起きていれば聞こえるであろう大声で声を掛けるも返答はなく、舌打ちをしながらも運転席へ向かお

うと取っ手に手をかけて登っていく。

突然車両が動き出せば、なんてタイミングの悪い、と心中で盛大に舌打ちしながら、開いていた扉か

ら車内へと転がり落ち。体を丸め衝撃に耐えようとするが、背中を強かに打ち付ければ息が詰まって

一寸咳き込み。涙目で車内を見回せば、なんとも変てこな形の物体に目がいって

「なんだ、コレは?」

ひっそりと呟きを漏らせば、再び車両が急にハンドルを切って壁に強かに左肩を打ち付けて、痛みに

今日は厄日か、と考えつつ。

車外の様子を窺えば、テロリストの車両で追われている現状に、更に今日は厄日決定とばかりに溜息

を零し、途中運転席から車外へと出て行った女性を見送り、一先ずは落ち着くまで待ち。

突然の浮遊感に、車両が落下したのだと頭で判断しつつも、掴むものもなく再び背中を強かに打って

痛みを堪えながら立ち上がる。

先程までは追っていた者達の気配があったが、シンと静まり返った周囲に緊張をしていた肩の力を抜

いて、変てこな装置に近付いて。

「本当に、何なんだろうな……コレは。」

現状では、早めに逃げ出しておかなければテロリストと思われる可能性大であることに警報が鳴って

いるにも拘らず、どうしてかこの装置から目が離せずにいれば、微かに物音を耳に拾って。

音源へと体の向きごと視線を移動して、どこか現実味のない感覚で向けられる言葉を聞きながら。

こちらが何を言おうとも聞いていない様子の相手に、両腕で防いだものの蹴り一発で吹っ飛ばされ、

本日何度目か背中を打ち付ければ、その痛みに呻き声を出さぬよう唇を噛んだ。

向けられた声が、どこか懐かしさを感じる声音だったことには気付かずに・・・・・・。

作品名:1.全ての始まり  前編 作家名:dogwan