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戦争トリオ!4

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「あーあ、シズちゃんのせいでボッロボロ!最悪だよもう」
「それはこっちのセリフだクソノミ蟲」
「はいはい二人とも喧嘩しないのー」
放課後、臨也と静雄はいつも通り戦争していた。いくらか暴れて一段楽したところで新羅、京平と合流し下校、今にいたる。
「なんか喉渇いた。コンビニ寄りたい」
「自販機探せよ」
「静雄が投げつくしちゃったんじゃない?」
「捻るぞ新羅」
「勘弁してください」
「確か西口公園なら置いてあったんじゃないか?」
「さすがドタチン、池袋最後の良識!」
「臨也は正反対どころか一周回って同位置だよ、きっと」
「そこは正反対でとどめておいてくれ…同位置は嫌だ」
「俺さりげなく貶されてる!?」
「むしろノミ蟲なんかと比べられた門田が貶されてるだろ」
「うっさいシズちゃん黙ってて!」
「ていうか自販機置いてある場所知ってるのと良識あるのって何の関係が…?」
「さぁ?臨也みたいな変態の思考回路なんて、僕たち一般人に理解不能だよドタチン」
「それもそうだな」
「ちょ、そこ同意する!?しちゃう!?」
「ノミ蟲きめぇ喋んな酸素の無駄だろーが」
そんなこんなで一行は西口公園へ向かった。



「あれ、あそこにいるのってもしかして帝人くん?」
西口公園に到着してすぐ、新羅が言った。
「ああ、多分そうだと思うぞ。なあ臨也、静雄」
「……うん、あれは帝人くんだね」
「…………」
答えた臨也の声音は若干低く、静雄にいたっては無言で眉根を寄せている。2人が見ているのはもちろん帝人。
「一緒にいるのは誰だろ、噂の幼馴染くんかな?」
「かもな、仲良さげだし」
視線の先ではクレープの屋台の前で帝人ともう1人、金茶色の髪の少年――おそらく帝人の幼馴染――が会話している。少年が身振り手振りつきでなにやら言うのを帝人は呆れ顔で眺めている。丁度そこで少年が帝人にびしっ、と指を突きつけた。対する帝人は笑顔でその指を曲げてはいけないほうへ曲げようとする。少年は慌てて指を引っ込めた。そうして2人は、帝人は、臨也たちが見たことのない顔で笑った。そのまま4人とは逆方向に歩き出す。程なく帝人たちの姿は見えなくなった。
「………く」
「え?臨也、何か言った?」
臨也の呟きを聞きとめた新羅が聞く。
「ムカつく。何で帝人くん、あんな楽しそうなわけ?」
「そりゃ親しい友達といるからだろ」
「それなら俺たちだって…」
そこまで言って臨也は口をつぐみ、俯いてしまった。
「…チッ、何なんだよ」
「静雄?どうした?」
入れ替わるように吐き捨てた静雄に、今度は京平が聞き返した。
「何でアイツ、あんな顔で笑ってんだよ」
「静雄…?」
ぎり、と歯を強く噛み締める音がした。
「俺といる時はしたことねえクセに……」
静雄も、そういったきり黙りこんでしまった。
ただ沈黙が横たわる。そして突然、
「………帰る」
「え、ちょ、臨也っ?」
「…………」
「おいっ、静雄?」
臨也と静雄はそれぞれ別方向に歩いていってしまった。



(…ねえドタチン、これって…)
(……ああ…ってかドタチンって呼ぶな)
(うーん、ついに気づいたかな。それとも、そこまで頭回らないかな?)
(どうだかな。仮に気づいたとしても一筋縄じゃいかねえだろ)
(そうだよねー、なんたって戦争トリオ、池袋最強と最凶と最恐だし)
(また一波乱ありそうだな…はぁ)
(ドンマイドタチン☆)
(だからドタチン言うな。あと☆もやめろ)
(あ、でもこの場合、最大の被害者は帝人くんになるのかな)
(…帝人は大丈夫だろ、帝人だし)
(まあ彼はいつだって被害者でありながら最大の加害者でもあるからね)
(……)
(にしてもかなり仲よさそうだったね)
(ああ、やっぱあれが幼馴染なんだろうな)
(これは臨也と静雄、負け戦かも)
(ただでさえあんなだしな、あいつらは)
(何であれが好きな部類に入るんだろうね、帝人くん)
(さあな)
(あ、面食いなのかな?)
(…かもな)
作品名:戦争トリオ!4 作家名:刻蝶