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【11/28新刊】折原臨也の誤算【サンプル】

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「……シズちゃんさあ、ウチの前に良く来てるよね」
口を開く様子の無い静雄に、臨也は溜め息を吐いて唐突に話を始めた。
知られているとは思っていなかったのだろう。自分の行動を突然指摘されて、静雄は口をぱくつかせる。
「っな、に……言って」
「丸見えなんだてば。ガードレールんとこ。たまに来てるでしょ? こないだも。あれなに? どういうつもりなわけ?」
呆れたような口調で、畳みかける。
確かめなければ気が済まなかった。
静雄の行動の理由。
あの、表情のわけ。
けれども、言葉で聞き出すことは無理だとわかっている。
だからこれは、ただ静雄を追いつめる為の手段にすぎない。
「……なんだっていいだろうが。てめえには関係ねえ」
「ウチの前でぶっ倒れといて、関係なくはないんじゃない?」
「あれは……っ」
「何?」
「――っ」
思わず、と言った様子で反論しかけた静雄の言葉を奪って、真っ直ぐにその瞳を見つめる。そうしてみて、臨也は自分がきちんと静雄の目を見たのが初めてであることに気が付いた。
普段はサングラスで覆われているために、見る機会の少なくなったその双眸。息を詰まらせて揺れる黒目に、小さい自分が映っている。
それを見た瞬間、ふいに静雄に対するアドバンテージなどどうでも良くなって、臨也は大げさに深い溜め息を吐いた。
「シズちゃんさあ……あそこにいる時、自分がどんな顔してるかわかってんの?」
先程までの、小馬鹿にした様な物言いではなく。純粋に嫌味を込めて、静雄を見遣る。
「顔……?」
対する静雄は、何の事だかわからないと言った様子で眉間にシワを寄せる。
「ムカつくんだよね、あんならしくない顔。どうしていいかわかんなくなる。落ち着かないし、気になって仕方ないのに、顔見てらんなくなるしさあ……ほんと、わけわかんなくてどれだけウンザリしたか」
困惑している静雄を前に、臨也の口から吐き出されるのはいつもの口八丁ではなく。
「でもこの前でわかった。俺さあ……シズちゃんのこと、好きみたい」
するりと、本音が漏れた。

[中略]

混乱する静雄をじっと見つめたまま、臨也はおもむろに立ち上がる。そして静雄の前に立つと、すっと手を伸ばしてソファの背を掴んだ。ソファと臨也の間に挟まれ、立ちあがることを緩やかに抑制される。
余りにも自然なその動作に、静雄ははっと我に返って目を見開いた。
「っ臨也……!?」
目を逸らさない。逸らせない。
簡単に押し退けてしまえるはずなのに、至近距離のその瞳が、それを許さなかった。
「わらないなら、もっとわかりやすく教えてあげるよ。この前の感覚を、思い出させてあげる」
「っ、なに……っ」
何をする気だ、なんて言いながら、本当はわかっていた。
臨也の意図。そこから逃れる術も。
それなのに、どうしてか身体が動かなかった。
この前の感覚、を臨也の言葉通りに思い出して、身体がかあっと熱を持つ。
臨也はまだ、自分に触れてもいないのに。
臨也の黒目に自分が映っているのを、信じられない気持で静雄は見つめた。
その真っ黒な揺らぎに、引き込まれるような錯覚に陥る。
「シズちゃん」
呼ばれた名前に、どくりと心臓が脈打つ。
こんな呼び方をするのは、この男だけだ。
臨也だけだ。
今更のようにそんなことに気付いた瞬間――ふいに温かい感触が触れて、静雄は臨也にキスされていた。