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放課後ロマンス

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ある日の放課後、教室で静雄を待っていた臨也は1人の女子生徒に話しかけられた。

「あ、あの、折原、先輩…!お話したいことがある、ので屋上に来てくださいっ…!ま、待ってます…っ!」

そう言って女子生徒は駆け出していった。
臨也は、どっかで見たことあるような気がするけど覚えてないなあ、また告白されるんだろう、面倒くさい。と思った。
面白そうだなあ、どうやって断ろうかなあ、断ったら彼女はどんな顔をするだろうか、楽しみだなあと思いながら臨也は屋上へ向かう。
黙っていれば眉目秀麗を具現化したような顔の臨也からしてみればこのようなことは日常茶飯事で驚きもなにもなかった。

さて、と屋上の扉の前に臨也は立った。
どんな断り方をしようか、どの断り方が一番彼女に響くだろうか、とかそんな悪趣味なことを考えながら扉を開けた。
そこにはさっき臨也のところへ来た女子生徒が立っていた。
スカートの裾を握り締め、頬を赤らめながらもじもじしている姿はなんともいじらしいものだが臨也はあからさまに興味がない、というような顔であった。


「せっ、先輩、きてくれたんですね…っ!」

女子生徒は顔を上げ嬉しそうな声で言った。
それに対し、臨也はいつもの人好きのする笑みを浮かべながら女子生徒に冷や水を浴びせかけるような言葉を吐いた。


「で、何?あ、というかそれより君誰?顔も名前も知らない君に割く時間なんかこれっぽちもないけど面白そうだから来てあげたんだ、喜んでよ」


彼女の顔色は急激に青ざめた。
臨也は相変わらず微笑みを浮かべたままである。
彼女は愕然とした表情で臨也に問いかける。

「それって、どういうことなんですか…」

「ははっ、なにその質問。その通りだよ、俺、君のこと知らないし、君に興味ないもん」

楽しそうな笑い声をあげながら臨也は答える。
女子生徒はその瞳に涙をうっすら浮かべている。

「…っ、このまえ、2番目でもいいなら付き合ってくれるって言ったの嘘なんですか…!」

ここで臨也は、あ、そういえば、と思った。
1ヶ月くらい前この女子生徒に話しかけられてめんどくさかったからそう言ったんだっけ、という曖昧な記憶をうっすらと思い出した。

「うそっ、君それ本気にしてたの?!というか2番目でもよかったんだー、へぇ」

またしても茶化すような調子で臨也は話を続ける。

「いやあ、忘れてたのはすまないとは思うけど君のことを忘れるのは仕方ないよ。どうでもいいし。正直シズちゃん以外どうなっても構わないし」

「なんで私じゃ…っ、だめなんですかっ…」

女子生徒はもう既に泣いていた。臨也は、ああこれだから人間は、と思った。

「俺、好きな奴いるから。そいつ、腹立つくらい強いんだけどすっごく脆いんだ。寂しがりやだから俺が構ってあげないとすねちゃうし、かっこいいのに可愛いとこあるし、ほんと反則。
もう1番も2番も3番もずーっとそいつで埋まってる。そいつのことしか考えられない、そもそも人間に順番になんかつけられないよ、みんな平等だ。でもそいつだけは違う、人間じゃないからね」

臨也はさっきまでの話し方ではなく、真面目な表情、声色ですっぱりと言い切った。
視線は校舎に向いており、その視線の先には1つの教室があった。そこにかすかに見える明るい金色の髪。

「あ、ちなみに俺の好きな人ってシズちゃんなんだよね。そうそう、あの平和島静雄。君のような人間には遠く及ばない存在だよね、いいよ元々勝負にはならないから、気にしなくて」

さらっと言い放った臨也は、さっき見ていた教室へと足を急がせる。
後ろですすり泣く声が聞こえたが気にせずに階段を降りる。

なぜならそこには静雄がいるから。

「シーズちゃん!待った?ごめんねー、ちょっと色々あってさ〜…」

「いや、別に。むしろ俺が待たせてたみたいで悪いな…、なんかあったのか?」

少し申し訳なさそうに頭をかく静雄が今は愛おしくて仕方なかった。
さっき改めて静雄への気持ちを再確認したのだ、愛おしくないわけがない。
こうして再確認できたのだ、少しはあの子にも感謝しようと臨也は思った。

「ん?いや、女の子に告白されただけだよ」

なんでもないことのようにそんなことを言う臨也だったが静雄は驚愕の色を隠せない。

「えっ、おまえっ!されただけって!もしかして断ったのか…!?」

静雄はなんとも言えない表情で臨也に訊ねる。きっと内心複雑なのだろう。

「もちろん断ったよ。別に、どうでもいいし。シズちゃん待たせてたし、さっさと断って帰ってきちゃったんだよ」

静雄はそんなんでいいのかよ…、とでも言いたげな顔であったが口には出さなかった。

「さーて、シズちゃん帰ろうか」

臨也はさっさと帰り支度を済ませ静雄を急かす。

静雄はなにかおかしいと思いながら、臨也はあの女の子に会わないようにしないと、と思いながら、学校を出た。


作品名:放課後ロマンス 作家名:藤村