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波瀾万丈

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皇歴2010年×月×日 / 警護室にて記す
 なんという名誉!アリエス宮の警護を任されるとは!マリアンヌ様!元ナイト・オブ・ラウンズであり、麗しいご婦人でいらっしゃるあなたを、士官学校の頃よりずっと敬愛申し上げておりました。お近くでお役に立てること。それこそは、力こそが正義のこのブリタニアで、皇室にお仕え申し上げている、軍人冥利に尽きるというもの!ルルーシュ様も、ナナリー様も、利発で愛らしくお育ちと伺っております。このジェレミア・ゴッドバルト!身命を賭して皆様をお守り申し上げる!


(略)


皇歴2017年○月○日 / エリア11執務室にて記す
 何ということだ。このエリア11、本国より遠く離れた鄙びた土地で一生を終えられようとは。クロヴィス様!殿下!私はまた、皇族の方々をお守りできなかった。力不足が身に滲みる。しかし此度はあの七年前の惨劇のように、己の力の無さを嘆くだけには留まらない。必ずや大罪人を捉え、クロヴィス様の御前に供えてさしあげるのだ。そうでなくてはマリアンヌ様にも、このエリア11で亡くなられたルルーシュ様にもナナリー様にも申し訳が立たぬ!何のための純血派か!首謀者を探すのだ。なんとしても!

 追記(メモ書き):同時間同場所に旧日本の首相の血縁者が居たとの情報を得る。名誉ブリタニア人としての戦線参加とのことだが、わかったものではない。大至急捕えるよう指示を出す。


(略)


< 判読不可能な文字の羅列 >



(略)


皇歴2018年△月△日 / ギアス嚮団にて記す
 私の皇族の方々への忠誠に、悉く水を差した仮面の男『ゼロ』の正体が知れた。嚮主V.V.によれば、喪われた皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアであると。そしてギアス解除の能力とともに私に与えられたのは、ゼロの、つまりはルルーシュの暗殺指令。なんという僥倖。かりそめに私に与えられた力のために、私は彼の超常の力に操られた者どもに邪魔されることなく、己一人でゼロにたどりつくことができるだろう。いや、何を欺いてでも、今度こそ必ずたどりついて見せよう。


(略)


皇歴2018年×月×日 / 黒の騎士団 旗艦『斑鳩』にて記す
 心が軽い。ようやく、仕えるべき真の主を得た。偽りをここに記す必要もなくなった。
 これ以上は言葉にならぬ。


(略)


皇歴2019年○月○日 / 農場にて記す
 ルルーシュ様の最後のご命令を果たすべく、旧エリア11のアッシュフォード学園へ行っていた。ゼロとして起たれる以前、いや起たれた以後も生活の基盤はここにお持ちだったとのこと。政庁よりそれほど離れてはいないこの場でと、追手の裏を掻く驚くべき発想には舌を巻く思いだ。アーニャから聞いた学園生活は賑やかで微笑ましいもので、ナナリー様ともども御年相応であられた姿を思い、何とはなしに痛々しく感ぜられる。今日はゼロの姿も見かけた。あの男のことだ、気付いていたかも知れぬ。彼を見ると互いの数奇な運命を思わずには居られぬ。達者で暮らして欲しいものだ。

 さて明日からは収穫の準備となる。一度早朝に果実の生長具合を確認することとする。
 主亡き今、与えられた名と同じこの果実こそが、私の忠義の証である。
作品名:波瀾万丈 作家名:川木