二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

沈黙の心

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 



本当は・・・。


竹林の奥にお前を見つけた時、胸が張り裂けそうなくらいうれしかったある。

文字や歌を教えた時の、お前の楽しそうな顔やキラキラした瞳が見たくて、熱心にたくさんのことを教えたある。

お前に兄である事を否定されたときは悲しかったけど、一緒に暮らした日々はとても、とっても楽しかったある。


・・・あの時間が永遠に続くと思っていたあるよ。


だからあの日、お前に刀を向けられた時、起こっている事が信じられなかったある。

いや、信じたくなかったある。

お前が、我が弟が、我に刃を向けているなんて事は。


悲しそうな、つらそうな顔でもしていれば良かったのに、お前はことごとく無表情で、我の悲しさを倍増させたある。

我がその後、三日三晩泣いていたなんて事なんて、お前は知るはずもないある。



それくらい悲しかったあるよ。



でも、我らは『国』だから仕方がないと立ち直ったある。

そしたら今度は、敵同士になったと知らされたあるよ。

さすがにあの時は、我の運も地に落ちたなと、笑うしかなかったある。



つらかったある。



悲しかったあるよ。



戦争中に久しぶりに見たお前は、昔に比べて大きく、たくましくなっていたあるが、その身体は傷だらけで見るに堪えない姿だったある。

やっと戦いが終わって、世界はだいぶ平和になったある。

お前も、見違えるほど性格がやわらかくなって、まるで我と一緒にいた頃のお前に戻った
みたいある。

にこやかに、時には困ったように笑うお前を見て、我はほっとしているあるよ。


だけど最近、お前も含めてみんな調子が悪いみたいある。

それになんだか、我は冷たくされているようで、少し寂しいある。




もう一度、我の事を「にーに」と呼んで欲しいある。




昔みたいに、一緒にいた頃みたいに、我のほうを向いて笑って欲しいある。




我だけを見て、笑って欲しいある。







・・・こんな事、お前には絶対言えねーあるな。






作品名:沈黙の心 作家名:音梨音色